社会

いよいよ消費税10%、意外に知られていない消費税の実態とは

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消費税は公正な税だと多くの人は思っている

 ところで消費税の導入や増税について、デモや暴動が起きないのは、日本人のおとなしい気質にもよるのかもしれないが、消費税が公正・公平な税だと思っているためかもしれない。そう思う理由は、消費税は誰からも徴収される税だからというものだろう。

 たしかに、金持ちも貧乏人も、上場企業の社長も町工場の社員も、商品やサービスを購入すれば「同じ税率で」消費税を支払うことになる。しかし、ここに消費税の過酷さが隠されていることに気づく人は少ない。エンゲル係数を思い出していただけばわかりやすいが、高所得者ほど所得における消費の割合は低いのだ、一方、低所得者は所得における消費の割合が大きい。

 つまり、所得に対して徴収される消費税の割合は高所得者ほど軽く、低所得者ほど重くなる。これを「逆累進性」が強いと言う。もう少し具体的にたとえてみたい。

 月給が手取りで30万円の人が一部を頑張って貯蓄に回し、28万円を消費に回したとする。一方、月給200万円の人は余裕で多額のお金を貯蓄や投資に回し、贅沢したとして消費にはせいぜい60万円を回したとする(それでも前者の月給の倍を使ったことになる)。

 すると支払う消費税(10%で計算)は以下の通りになる。

 月給30万円の人は、28万円×0.1=2万8000円で、収入の約9.3%を徴収される。一方で月給200万円の人が徴収されるのは、60万円×0.1=6万円で、収入の3%だ。

 これは、所得が低い人ほど消費税の負担が大きく、所得が高い人や富裕層ほど消費税の負担は小さくなることを示している。

収入がなくても赤字経営でも徴収されるのが消費税

 この逆累進性の強さ以上に注目したいのが、税のスタビライザー機能の有無だ。スタビライザーとは乗り物に取り付けられている安定化装置のことだ。たとえば所得税は、収入の多さにより課税額が変動する。失業するなどして所得が途絶えれば、徴税は免除される。

 また、法人税も同様で、赤字になれば徴税は免除される。どうしてこのような仕組みが採用されているのかというと、そもそも税金にはいくつかの機能があり、その1つが景気の安定化や富の再分配による格差縮小があるためだ。

 所得税や法人税が高所得者ほど高くなるのは、富の再分配に貢献する。また、低所得者や無所得者・赤字企業の税負担を小さく抑えたり徴税を控えたりすることは、所得上昇や経営再建へのチャンスを与えることになる。ところが消費税にはこのようなスタビライザー機能がない。そのため収入の多さには関係なく、また失業して所得がなくても容赦なく徴税される。

 法人の場合も、赤字であっても消費税は徴税されるのだ。そのため、支払うことができなければ差し押さえの憂き目にあい、中小企業の経営者には、消費税の負担に耐えかねて自殺に追い込まれるといった悲劇も起きているという。この因果関係は中傷企業庁の「2015年版 中小企業白書」でも示唆されている。つまり、消費税は所得の大きさや有無に関係なく、あるいは法人であれば黒字でも赤字でも、徴収できる税なのである。それが故に、消費税は景気変動の影響を受けない「安定した財源となる」と言われているのだ。

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