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月組公演『エリザベート』で、珠城りょうさまほか歌がうますぎる宝塚若手役者たちの底力を思い知る

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2018年10月1日まで宝塚大劇場で上演中の月組公演『エリザベート~愛と死の輪舞(ロンド)~』のパンフレット。美しさと妖しさをたたえたトート役の珠城りょうさま。(筆者提供)

 

【ヅカヲタ女医の「アモーレ!宝塚ショー」】第4回
ミュージカル『エリザベート~愛と死の輪舞~』

 宝塚ファンの女医、wojoです。暑さが和らぎ、ようやく過ごしやすくなってきましたね。宝塚の世界では月組による、宝塚において通算10回目の公演になるミュージカル『エリザベート~愛と死の輪舞~』の上演が始まりました(8月24日から)。涼しくなり体も動きやすくなったため、このwojo、宝塚大劇場に遠征して参りました。そして、劇場の端っこになんとか座席をゲット。ありがたく観劇に至ったのであります!

 平日昼間だというのに満席! 立ち見のお客さんがスズナリ! 開演前の静かな興奮にこちらもドキドキ。そして終演後……

「ヤベエ…これやべえやつだよ」(wojoの愛読マンガ『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』より)のLINEスタンプを、ヅカファン友に送り付けまくってしまったのです。いやホントに、「こんなエリザベートだったとは!」と興奮、驚愕、感動の嵐だったのです。

 何がそんなにすごかったって、歌です! ここまでの歌うまさんたちが、今の宝塚にこんなにもたくさんおられるとは!

 まず幕が開き、エリザベートの夫であるフランツ・ヨーゼフ役の美弥るりかさまが歌われてびっくり! うま!!(←申し訳ございません、二番手スターさんに向かって……)

 第一幕のプロローグの曲は、「我ら息絶えし者ども」。カラオケ・JOYSOUNDにも入っている名曲なのですが、死ぬほど難しいんです(wojoごときが言うのもなんですが、特にひとりで歌うと。私は過去に一度トライして玉砕いたしました……)。ところが美弥さまの歌うこの曲を聴いて今回初めて、フランツ・ヨーゼフのパートの音程をはっきりと正確に知った気がしました。

 もともと美弥さまは星組育ちで、その後2012年に月組に組替えになられた方。この組替え以降にものすごく歌唱力がアップされた印象ですが、今回改めてお聴きすると、お声にますます艶と深みが増していらっしゃり、「まさかここまで……!」と涙が出そうなくらい感動を覚えた次第です。一体どこまで進化されていく方なのでしょう?

 そして主役たちを支える脇の方々も、レベル高すぎ! フランツ・ヨーゼフの母の皇太后ゾフィーの側近たち、この人たちがまた歌うまさんたちで固められており、眼福に加えて耳福すぎました!

 ベビーフェイスな上に歌・ダンス・お芝居三拍子そろったラウシャー役の千海華蘭さま、そして王子さまのような甘いマスクの実力派・グリュンネ役の紫門ゆりやさまは言うに及ばずであります。中でもwojoが感動したのは、シュヴァルツェンベルク役の颯希有翔さま!

 このシュヴァルツェンベルク役は、1996年の雪組『エリザベート』初演時、現在メイクアップアーティストとしてご活躍のCHIHARUさんがまだ矢吹翔さまだった時に演られたお役。渋くてややセクシーなオジサマ的なお役で、観る前には、「颯希さまのようなお若い方がおやりになるとはびっくり!」と思っていたのですが、なんの! よく通るお声で堂々としたシュヴァルツェンベルクです。クリミア戦争の情勢についてゾフィーに上申する低音のメロディは美しく力強く、次世代の名シンガーここに見つけたり! スター誕生! と感動を覚えました。お顔も、元花組の美貌の名ダンサー・月央和沙さまをほうふつとさせるイケメン!

 月組は前回の公演『カンパニー』『BADDY』にて中堅の実力派の方々がごっそりと退団されており、このタイミングでの『エリザベート』公演に、はたしてどうなるのか……と心配ではあったのですが、それはまったくの杞憂であったことがよくわかりました。層が厚すぎます!! お歌のお上手な方が多すぎます!!

こんな歌うまい人ばかりが集うカフェあるのか!?

 一幕だとほかに、第14場「ウィーンのカフェ」がまたビックリ! オーストリアの反体制派たちが密会する後ろで、「エリザベートとフランツ・ヨーゼフに長男となるルドルフが生まれたぞ!」とカフェのお客さんたちが歌うシーンですが、ここでもまた、前述の千海華蘭さま、颯希有翔さま、そして歴代の歌うまさんたちが務めてこられた第二幕の戴冠式の場面における「エーアンの歌手」に抜擢された周旺真広さまらが、それぞれに「カフェの男」役として美声をとどろかせており、「こんな歌うまい人ばかりが集うカフェあるのか!?」と言いたくなるくらい、まったく隙のない場面に仕上がっておりました。ええ、早く実況CDを購入したくなりました。そしてエンドレスで聴いていたいです……。

 そしてそして、特筆すべきは第二幕第7場「病院」でしょうか。壮年期のエリザベートが、慈善事業として病院訪問を行った際、自分をエリザベートだと思い込む女性患者と出会う場面なのですが……。

 この女性患者・ヴィンディッシュ嬢を演じたのが、若手娘役スター・海乃美月さま。舞台に登場した瞬間から、何か筆舌に尽くしがたい哀しみをその身にまとっておられます。本物のエリザベートに向かって「私がエリザベート!」と歌うのですが、精神を病み心が遠くに行ってしまった女性のつらさがひしひしと伝わり、この一場面がとても永く感じられました。

 wojoがオペラグラスを覗きながら観劇した際には、海乃美月さまと相対するエリザベート役の愛希れいかさまの目から、大粒の涙が落ちるのが見え……wojoもつられて、年甲斐もなく涙腺を崩壊させてしまいました。

 海乃さまはこれまでも、さまざまな舞台でヒロイン役を担ってきた方。まだお若いですが、キャリアを積んでこられた役者さんとしての底力を存分に発揮しておられました。いい意味で宝塚らしからぬ、なんだかもうすごい場面を見てしまった……と、これもまたびっくりです。

 そういえば、現花組トップ娘役の仙名彩世さまも、2014年の花組での『エリザベート』上演時にはヴィンデッシュ嬢をやっておられました。きっとこのヴィンデッシュ嬢役は、実力派スターさんの通られる道なのでしょう。

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