星野源「アイデア」には、くも膜下出血の闘病と復活による変化が込められている!?

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 そのテーマを聞いてファンの間で「謎が解けた」と話題となっているのが2番<生きてただ生きていて>の部分で、MPCプレイヤー・STUTSの横に配置されたカメラに意味ありげに「31」というメモが貼られていることだ。

 それは、彼の人生にとっても、表現にとっても、非常に重要な分岐点となった数字だからだ。

 『オールナイトニッポン』のなかでは「31」の謎について明確には語られていないが、彼が初めてくも膜下出血と診断されたのは、2012年12月、31歳のときであり、この符号は偶然ではなさそうだ。

 このときの手術は成功し、2013年2月にはいったん復帰したものの、同年6月に再発が見つかり再び手術を受けることになる。この手術も無事に成功して翌年に復帰。その後の活躍は知っての通りである。

 後遺症もなく元気に復活したように見える星野だが、実は症状は重篤なもので、1度目の手術のときから全快の可能性は低いと言われていたようだ。

 それがこうして全快しているのは、まさに奇跡なわけだが、その「31」という数字が「いままでの僕のアイデアの供養、そして新たな再生」をテーマにしたミュージックビデオのなかに入れ込まれたのは、彼の表現が病気を機に大きく変化したからだろう。

 「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)2017年5月号に掲載された小説家・米澤穂信との対談で、星野はその詳細を語っている。

 米澤は、病気で倒れる前に書かれた「化物」(2013年5月リリースのアルバム『Stranger』収録)では<誰かこの声を聞いてよ>と歌っているのが、病気完治後のシングル「SUN」(2015年5月リリース)では<君の声を聞かせて>に変化していることに着目。それに対して、星野はこのように答えている。

「さすがです! そこに気づいてくださるとは。心境の変化です。『化物』は病気で倒れる直前に作った曲なんですが、当時は心情的に「僕のことを誰かわかってくれ!」と、独り善がりな状態だったんですね。その痛々しさが、そのまま歌詞に出たんです。でも、倒れて休んでって期間があってからの『SUN』では、(中略)自分の外側に興味が向かっていました。それに気づいたのは、曲ができて少し経った頃で。よく考えたら『化物』と『SUN』は対になっているぞ、と」

 「化物」は、仕事を終えて日常に帰った歌のなかの主人公が、風呂場で急に無常感に襲われたときの心の叫びを<誰かこの声を聞いてよ/今も高鳴る体中で響く/叫び狂う音が明日を連れてきて/奈落の底から化けた僕をせり上げてく>と歌っている。

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