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「痴漢も生きづらい」小川榮太郎の破綻した論考を載せた「新潮45」

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「新潮45」(新潮社)2018年10月号

 自由民主党の杉田水脈衆議院議員が「新潮45」(新潮社)2018年8月号に寄稿した「「LGBT」支援の度が過ぎる」という文章が大炎上して約2カ月。新聞、雑誌、ネットニュースといった媒体のみならず、地上波テレビのニュースやワイドショーでも大きく取り上げられる事態となったが、そのことに対して当の杉田水脈議員は公に説明や反論をすることもなく沈黙を守っている。

 そんななか、問題の文章を掲載した「新潮45」が、9月18日発売の2018年10月号で「そんなにおかしいか「杉田水脈」論文」なる特集を組んだ。この題が示す通り、「新潮45」は7人の書き手による杉田水脈議員擁護の文章を30ページ以上にわたって掲載し、杉田水脈議員に対する世間からの反発に異論を唱えているのだが、この内容がまた杉田水脈議員の文章と同じく(もしくはそれ以上に)、事実誤認、話のすり替え、問題点の矮小化を多数含むもので、ネット上では新潮社に対して大手出版社としての姿勢を問う声が相次いでいる。

 まず、特集の一番手を飾る新しい歴史教科書をつくる会副会長の藤岡信勝氏は、「LGBTと「生産性」の意味」と題された文章のなかで、件の炎上についてこのようにまとめていた。

<「生産性」というたった一つの言葉を巡って、約一か月にわたり、主要メディアを挙げてのバッシング騒動が展開された。騒ぎが収まった現時点から振り返っても、肌に粟を生じる思いがするほどの異常な出来事であった>

 この認識は完全に間違っている。確かに、メディアで扱われる際には、<子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか>という一連の文章に焦点を当てられることが多かったが、杉田水脈議員の原稿に対して多くの人々から発せられた怒りは、ただ単に言葉尻をあげつらって起きたものではない。

 杉田議員の文章には、<最近の報道の背後にうかがわれるのは、彼ら彼女らの権利を守ることに加えて、LGBTへの差別をなくし、その生きづらさを解消してあげよう、そして多様な生き方を認めてあげようという考え方です。しかし、LGBTだからと言って、実際そんなに差別されているものでしょうか>などと、現実に問題として起きているLGBTへの差別や偏見を矮小化したり、<リベラルなメディアは「生きづらさ」を社会制度のせいにして、その解消をうたいますが、そもそも世の中は生きづらく、理不尽なものです>と、論点のすり替えがあった。

 この他にも杉田議員の文章には、事実誤認や論理の矛盾が多数含まれていたが、このような差別的な文章が政権与党に属する現職の国会議員によって書かれたから大問題となったのであり、それは<肌に粟を生じる思いがするほどの異常な出来事であった>のではなく、民主主義の国として当然の出来事であったといえる。

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