情報銀行の実証実験開始。私たちが自ら個人情報を差し出す時代が来ている?

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「情報銀行」とは何か?

 「情報銀行」とは何か。前述の通り、ネット上の至る所にこぼれ落ちている個人情報は、新たなビジネスやサービスを生み出す資源として注目されている。そこで、これらの情報を安全にかつ透明性を持って活用するために、「情報銀行」が必要だとされている。

 つまり、個人が自ら積極的に個人情報を「情報銀行」に預けることで、あらかじめそれらの情報を活用できる事業者を選ぶことができ、必要とするサービスの提供に活用させることができる。しかも、それらの情報を活用させたことに対する何かしらの対価を得ることができる仕組みだというのだ。

 しかし、この説明は奇妙だ。自主的に個人情報を「情報銀行」に預けたところで、あちらこちらにこぼしてしまった情報をなかったことにはできないからだ。

 「覆水盆に返らず」ではないか。ちなみに、総務省の「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」では、「情報銀行」を以下のように定義している。

 “情報銀行(情報利用信用銀行)とは、個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS等のシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示又は予め指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業。”

 もう少しわかりやすく説明したい。

情報を自ら差し出す時代へ

 「情報銀行」は、その名の通り、個人情報という資産を運用することで、個人に利子を配分する仕組みだと考えられそうだ。

 たとえば、利用者はスマートフォンやパソコンから「情報銀行」に個人情報を提供する。このとき、単にフォームに入力した情報だけでなく、今後スマートフォンの位置情報やパソコンでのWeb訪問歴も提供するし、スマート家電の利用状況の取得も許可するのだ。

 「情報銀行」はそのようにして得た個人情報を、利用者があらかじめ許可した事業者に提供し、事業者は対価を「情報銀行」に支払う。対価を得た「情報銀行」は、情報を提供した利用者に有益な情報(広告も含めて)を提供したり、キャンペーン情報やポイントなどを対価として配当したりする。もしかすると将来は、現金や仮想通貨といった対価になる可能性もある。

 つまり、「情報銀行」を利用することで、自ら積極的に個人情報を運営するということだ。もっとも、前述したように、「情報銀行」に情報を提供すれば、ネット上にこぼしてきた情報を抹消できるわけではないし、「情報銀行」から情報を得た事業者から情報が漏洩しないとも限らない。結局、セキュリティー上の問題が解決するようには思えない。

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