どのような実証実験が行われるのか
ところで、すでに始まった「情報銀行」の実証実験ではどのようなことが行われているのか。
取り扱うデータは、基本的な個人情報(年齢、性別、家族構成など)の他に、電力使用量、活動センサーから取得する情報、そしてIoTからの情報(スマート家電などが各種センサーで取得した情報)を取得する。
参加している各社の役割も分担されており、簡単に紹介すると、日立製作所が情報銀行システムの構築、日立コンサルティングは個人とデータ利用者との間で締結する契約書のひな形と約款作成、インフォメティスは電力センサーから取得したデータを情報銀行に提供する役割、そして東京海上日動火災保険と日本郵便は情報銀行から提供されるデータの活用方法の検証を行う。
これらの実証実験により、「情報銀行」を実際に稼働させる際の改善点などを洗い出すということだ。
結局、個人情報を守るのは自分
ネット企業だけでなく、あらゆる企業がネット上から取得できる個人情報を新たな商機と捉え活用したいと考えているだろう。
すでにGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)と呼ばれる企業たちは、自分たちの顧客情報を独占的に活用して莫大な収益を上げている。
しかし何度も繰り返すが、「情報銀行」に個人情報を提供することで何かしらのメリットを得られるかもしれないが、現時点では想定できていないリスクもある。
また、「情報銀行」に情報を提供したからといって、ネット上にこぼし続けている情報を管理できるようになるわけではない。結局のところ、自分の情報を守るためには、一人ひとりのネット利用リテラシーを高めるしかないのだ。