「日本人の給与平均が上昇」はウソ!? 統計水増しのトリック

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そうは言っても発表の仕方に作為を感じる

 なぜなら、この水増しされた当てにならない数値を、正しい数値としてメディアが報道し、そのまま放置されているからだ

 たとえば8月7日付のロイターの記事『実質賃金、21年5カ月ぶりの伸びに=6月の毎月勤労統計』や8月22日付の日経新聞の記事『6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計』は、本文を読まなかったとしても、見出しだけでも給与が上昇しているかのような印象を与えてしまう。いずれの記事にも前年と正しく比較した参考値については触れておらず、このような報道があまりにも多く見られるため、政府がメディアを利用して印象操作を行っていると疑われても仕方がない状況になっている。

 新聞の記事やニュース番組で水増しされた数値を見た人たちの多くは、「どうやら順調に景気も回復してきているようだ」と感じてしまうだろう。

狙いは消費税増税への地ならしか?

 では、もし印象操作を行っているとしたら、いったい何のためなのか。1つは現政権の政策が上手くいっているという正当化の意図もあるだろう。

 しかし、もっと疑わしいのは、消費税を増税するための地ならしなのではないか、ということだ。といっても、残念ながら確証するものは何もない。

 とはいえ、来年(2019年)10月の消費税増税を年内中に最終決定するためには、増税しても大丈夫な景気環境が整っていることをアピールせねばならない。そのための1つとして、国民の収入が上がっているという印象は効果的だ。

 さすがに姑息すぎるので、今回の水増し問題は、政府が意図的に行った印象操作ではないと思いたいが、それに匹敵する効果が出ており、結果的には印象操作になってしまっている。このようなことから思い知らされるのは、与えられた情報に対して、私たち国民の側が常に注意深くあらねばならないということになる。

 政治家も官僚も疑って監視する――。面倒なようだが、それが民主主義というものなのだ。

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