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ローソン銀行は日本の個人向け金融サービスをどう変えるのか?

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ローソンATM公式HPより

 「弁当」、「おにぎり」、「サラダ」、「デザート」、「アイス」。もちろん食べ物の名前だが、実は10月15日からサービスを開始するローソン銀行の支店名。

 コンビニで取り扱っている商品名から名付け、顧客の誕生月から、1月は「おもち」、2月は「チョコ」、3月は「おすし」、4月「カフェ」…と振り分けられる。●●駅前支店という何の変哲もないものとは異なり、なんともユニークでかわいらしい店名で、これに惹かれて口座を開こうという人もいるだろう。店名はさておいて、ローソン銀行は2001年のセブン銀行、07年のイオン銀行に続く小売業界から3番目の参入となる。

追うローソン銀行、逃げるセブン銀行

 ATM(現金自動預払機)事業と、預金、クレジットカード、インターネットバンキングといった個人向けの事業を手がけ、先行するセブンとは同じコンビニという土俵でぶつかることになる。

 ATMは銀行で約13万6000台、コンビニで約5万5000台あるが、銀行は店舗のリストラを進め台数を減らす傾向にあり、コンビニのATMの役割は重要性が高まっている。利用者にとっても身近にあるコンビニATMは利便性が高く日常的に使われており、利用が定着している。

 数ではローソンは約1万4000店のうち、約1万3000店にATMを設置しているのに対し、セブン銀行のATM台数は3月末で2万4392台と倍近くあり、セブンが優位に立っている。だが、ローソン銀行では、ローソンの店舗が圧倒的に多い地域では優位に立てるとみており、対抗心を燃やしている。

 一方で、ローソンの竹増貞信社長は、「お客様からすれば、コンビニのATMはコモディティ化(大衆化)して、近くの店舗で事足りるようになった方がいい。ローソンでもセブンでも、同じようなサービスを提供できるような方向に進むのではないか」と見ている。

 これに対し、セブン銀行はATMで「Suica」や「PASMO」など交通系電子マネー9種と「楽天Edy」のチャージや残高確認を可能にするサービスを10月15日から始める。ローソン銀行のサービス開始日に合わせたことで対抗心がうかがえるが、利用者にとっては競い合うことでサービス機能が増え利便性が高まればプラスになる。

 交通系電子マネーは2万円、楽天Edyは5万円(1回あたり2万5000円)まで1000円単位でチャージでき、チャージ金額を指定して、お釣りを受け取ることも可能だ。手数料は無料、ATMのある施設の営業時間内であれば利用が可能だ。

 セブン銀行では2020年に、4世代目となる新型のATMを、首都圏から順次導入していく計画だが、さらなる多機能化も予想される。企業から個人への送金ニーズが高くなっていることから、ATMによる現金受け取りサービスを今年5月から始めている。送金の際に、企業からメールで送られる確認番号の入力だけでATMから現金を受け取ることができる。今後も公共料金の払い込みなど新たな機能を付加することも予想される。

 すでに、コンビニには、ローソンの「ロッピー」など多機能情報端末が設置され、映画、スポーツのチケット、住民票や印鑑証明の発行などが行われており、最終的にはATMとの統合も考えられ、IT技術のイノベーションにより、まったく姿を変えたものになる可能性もある。

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西川立一

株式会社ラディック代表取締役。流通ジャーナリスト。マーケティングプランナー。慶応義塾大学卒業。大手スーパー西友に勤務後、独立し、販促、広報、マーケティング業務を手がける。流通専門紙誌やビジネス誌に執筆。流通・サービスを中心に、取材、講演活動を続け、テレビ、ラジオのニュースや情報番組に解説者として出演している。

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