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『半分、青い。』は北川悦吏子の自伝だった? 震災の雑な扱いも波紋

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 さて、鈴愛と北川氏の相似性はここでも出てくる。北川氏もまた、アイデアの人なのだ。『半分、青い。』はわざと“朝ドラヒットの法則”を全部外したという彼女。2010年放送の連続ドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ系)でTwitterを利用する男女の物語を書いた際、<私はリサーチしないよ。極力。しても一回。なぜなら、想像の翼を折るから。覚えておいて。こういう人もいることも>と宣言していたが、『半分、青い。』の脚本執筆にあたってもそのスタンスは同様だったようで、Twitterでフォロワーに<みなさんの、バブルの象徴を教えてください。今、そこ書いてます!>等と質問したことがある。

 9月21日放送の『あさイチ』にVTR出演し、博多華丸に「(『あさイチ』での華丸の)朝ドラ受けを狙った終わり方にしようとNHKに提案したら却下された。朝だけじゃなく昼も放送してるしBSでもやっているからと。えーなんで~、って」と無邪気にアイデアを語っていた北川氏だが、「なんで」も何もNHK側が「朝ドラは朝だけ放送しているわけじゃない」と正論を示しているのに、なぜゴネるのかが逆にわからない。しかし彼女がそういう思いつきを大事にしたい人であり、脚本にも活かしてきたことは確かだ。

 アイデアも大事かもしれないが、それを補強する考証やデータがあって初めて説得力のある作品になるというものだろう。「リサーチしません」と宣言し自力で作品を生み出そうという胆力はすごいが……。そんな北川氏のアイデアを散りばめられあちこちに話が飛んだ『半分、青い。』150話では2011年3月に突入、東日本大震災が起こり、鈴愛の親友・ユーコが被災し死亡した。あの震災を描くこと自体がタブーなわけではないにしろ、果たしてそれを描くことが『半分、青い。』のエンディングに向けて必要だったのか物議を醸している。

 現実に起こった大規模災害であり、まだ歴史の一部として風化していない現在進行形の問題。それをヒロインがショックを受けるためだけの都合のいいネタとして扱っているような雑さが感じられ、嫌悪感を示す視聴者は少なくない。震災だけでなく、「なぜこのエピソードが必要不可欠だったか」という説得力に欠けるシーンが『半分、青い。』には多かった。それが視聴者の心を悪い意味で掻き乱した最大の要因かもしれない。

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