サマータイムは百害あって一利なし 予想される健康悪化と膨大なコスト

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サマータイムの弊害は?

 もちろん、サマータイム推進派は、オリンピック選手のことだけを考えているのではないと主張している。そのメリットは、以下の通りだ。

・照明や空調のエネルギー節約ができる。
・外が明るい内に退社して自由時間が増える。
・上記の結果、経済活動が活性化される。

 すぐに突っ込みを入れたくなった読者も多いのではないだろうか。

 まず、サマータイムになろうがなるまいが、暑いものは暑いので、出社時間が早まる分オフィスや交通機関の空調も早く稼働する。照明も同様だ。それに、明るいうちに退社できるというのも説得力がない。むしろ、まだ外が明るいではないか、と残業が助長されやすくなるのではないか。

 その結果、経済活動は活性化などしない。そもそも懐が寒いままでは早く退社しても消費が増えるとは考えにくい。ましてや消費税が10%になっていればなおさらだ。

 一方、弊害は大きそうだ。すでに述べた残業の助長も一因となり健康状態が悪化するリスクがある。これは既にEUと米国では弊害が実際に生じたとして取り上げられていることだ。

 これについて「一般社団法人日本睡眠学会サマータイム制度に関する特別委員会」が公表した『サマータイム--健康に与える影響--』によれば、健康への影響は3つ上げられている。それは「生体リズムへの影響」「眠りの質への影響」「眠りの量への影響」だ。

 同資料では、英国での調査で夏時間に集中力が低下したことや、フィンランドでの研究では夏時間への移行で睡眠効率(就寝時間に対する睡眠時間の割合)が10%低下したことを紹介している。これらの健康への悪影響は、集中力低下や睡眠不足などにより仕事の効率低下や交通事故の増加などにもつながる。

 そして健康以外のデメリットとして、交通ダイヤやコンピュータプログラムの変更に関する膨大なコストがあるのだ。ただ、膨大なコストには二面性がある。コストを「払う側」がいるということは、「受け取る側」もいるということだからだ。

サマータイムで得する人がいるのか?

 私たち個人レベルで考えると、夏時間になったら時計の針を2時間ずらさなければならない、といった面倒くささがまず浮かぶ。しかし、よくよく身の回りを見てみると、インターネットに接続されているさまざまな機器、GPSと連動する機器、電波時計などだけでなく、交通機関のシステム、あらゆる場所に設置されている計器類への影響も大きそうだ。

 そして企業や官公庁が利用している各種のシステムにも改修が必要になる。費用を負担する側にとっては想像もしたくないコストが発生し、エンジニアにとっては恐ろしく面倒な作業が待っていることになる。一方で、利益を享受できる側(斡旋者も含む)にとってはどうだろうか--。いずれにしても、サマータイムの導入にはどれだけ慎重になっても悪いことはなさそうだ。

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