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臨床心理学の権威が「性的なカウンセリング」という重大な職業倫理違反

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Thinkstock/Photo by GeorgeRudy

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 たとえば教師が生徒に、上司が部下になど、その職務と立場を悪用して性的欲求を満たす行為は、許されないものだ。しかしそうした事案は後をたたない。9月27日発売の「週刊新潮」(新潮社)では、カウンセラーで「こころぎふ臨床心理センター」(以下、こころぎふ)のセンター長を務める長谷川博一氏が、カウンセリングを受けて来たクライエントの女性らに性的行為を伴う“セックス・カウンセリング”を施していたという衝撃の告発が掲載されている。

 長谷川氏は犯罪者の心理を分析する立場としても知られており『殺人者はいかに誕生したか:「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く』(新潮文庫)などの書籍も有名だ。著名な長谷川氏を頼って「こころぎふ」を訪れ、カウンセリングを受ける患者は少なくはないだろう。しかし長谷川氏は職業上の倫理に違反していたという。

 同誌記事に告発を寄せたのは2名の女性。「こころぎふ」にカウンセリングのために通っていた31歳女性Aさんが長谷川氏に“好意”を抱き、性的な関係を求めたという。カウンセリングの場において、カウンセラーとコミュニケーションをとるなかで、クライエントは徐々にカウンセラーに対する感情を投影するようになるのだという。負の感情を抱く陰性転移と、信頼や尊敬、愛情などの感情を向ける陽性転移があり、このAさんは陽性転移していたといえる。本人もその自覚はあったという。また、これは本当の恋愛感情ではない。

 当然、カウンセラーがそれに応じることは職業倫理上、あってはならないことであり、日本臨床心理士会の倫理綱領にも、カウンセラーとクライエントという関係以上の関係を持ってはならないと明記されている。だが、長谷川氏はAさんのこの希望を受け入れ性的関係を結んでいた。この際「こころぎふ」でのカウンセリングではなく「訪問カウンセリング」という自宅やホテルでのカウンセリングで、性行為に至ったのだそうだ。

 もう一人の告発者は44歳のBさん。うつ状態でカウンセリングに通い始めた彼女に対し長谷川氏は、彼女が受けた幼少期の虐待が関係しているので「Bさんの中の幼子を満たすために」カウンセリングルームではなく外で会うことを勧めてきたという。そしてホテルで出張カウンセリングを行うようになり、最終的に4度目でセックスに至った。出張カウンセリングは14回行われたという。

 彼女らはこうしたセックスカウンセリングにより虚しさや後悔を抱き、ストレスレベルを上げていき症状を悪化させてしまった。当の長谷川氏は「週刊新潮」の取材に対し「フラッシュバックが起きて、わけわかんなくなってしまった」と、自身が10代の頃に受けたと主張する性被害のフラッシュバックを理由に、回答を避けている。

 長谷川氏自身がそのような傷を負っているのであれば、まず自らがカウンセリングを受けるべきだろう。職務上、女性クライエントたちの求めに応じてはならないことは充分に理解していたはずで、求めに応じた結果、彼女たちがどうなってしまうのかもわかっていたことだろう。このような言い訳で免罪されることは到底ありえない。

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