スマホ依存で日常生活に支障が出る可能性、子どもの7人に1人。大人はもっと?

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Thinkstock/Photo by ViewApart

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  厚生労働省は先月、スマホでのゲームやSNSなどインターネットの使い過ぎで日常生活に支障が出る“ネット依存”が疑われる中高生は、7人に1人に当たる93万人にも上ると発表した。2012年度に行われた前回調査より42万人も増加しており、スマホの普及が背景にあると推測される。

 ネット依存は暴力や引きこもり、うつ病などの合併症や脳の障害を引き起こすリスクもあり、スマホの使用方法について真剣に議論する必要性は高まっている。

スマホ依存が学力を低下させる?

 スマホそのものが“悪”ではもちろんない。しかしスマホを通じてゲームや電話、チャットなどを延々やり続けてしまうことには問題がある。横浜市教育委員会は今月、市立の全小中学校に通う児童や生徒約26万人を対象に実施した「平成29年度 横浜市学力・学習状況調査」を発表した。その結果、携帯電話やスマホの利用時間が「使っていない」「30分以内」と回答した児童や生徒は学力が高く、「3時間以上」と答えた生徒や児童の学力は低い傾向があると報告した。

 大ヒットゲームソフト『脳を鍛える大人のDSトレーニング』を監修した東北大学教授の川島隆太氏は、今年3月に『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)を上梓した。川島氏は仙台の市立中学校に通う全生徒2万2390人のデータから、スマホの利用時間と学力の関係を解析。それによると数学のテストで「家庭学習が30分未満で、平日に携帯やスマホを全く使用しない生徒」と「家庭学習が2時間以上で、平日に携帯やスマホを4時間以上使用する生徒」では、前者の生徒のほうがテストの平均点が高かった。この傾向は多少の差こそあるが、国語や理科など他教科でも見られたという。

 家庭学習の時間が短くともスマホを全く使用しない生徒のほうが、家庭学習の時間が長いけれどスマホの使用頻度も高い生徒よりも成績が良いということになる。となると、「スマホに学習時間が奪われて成績低下」という単純な図式は成立しない。これだけ見れば、「スマホ=子どもにとって悪」と思い込んでしまう人もいるだろう。

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