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第一三共ヘルスケア株式会社は20日、全国の20代から50代の女性800人を対象に実施した「職場のコミュニケーションに関する意識調査」を発表した。「現在の職場での上司や部下・同僚との会話(口頭でのコミュニケーション)の頻度」を聞くと、「少ない」(22.8%)、「どちらかといえば少ないほうだと思う」(34.9%)と回答。6割近くが職場のコミュニケーションが少ないと感じていることがわかった。
どの程度のコミュニケーションを「適切」と感じるかは人それぞれ異なるだろう。しかしこの調査では、職場における口頭でのコミュニケーションが減ったと感じている人の方が、職場において強いストレスを感じやすいと結論づけており、また、この3~4年で職場におけるストレスが増加したと感じる割合も高くなっていることを示してもいる。
一方、エン・ジャパン株式会社が30歳以上の女性を対象に実施した調査によると、「職場の年下社員との接し方で悩んだことはありますか?」という設問で、57%が「悩んだことがある」と回答した。具体的な悩みに関しては、最多が「叱るのが苦手」(47%)。以降、「ジェネレーションギャップを感じる」(39%)、「何を話していいかわからない」(36%)と続いた。過剰なコミュニケーションをとる必要はないだろうが、業務上必要なやりとりすら困難なケースもあるのかもしれない。
パワハラやセクハラがようやく真剣に問題視されるようになり、職場でのコミュニケーションは見直されてきている。しかしその変化に順応できず、「じゃあどう接するのが正しいの?」と迷路に迷い込んでいる人もいるのだろう。
コミュニケーション能力を重視して採用したんじゃないの?
そもそも「コミュニケーション」とは何なのだろうか。現在20~30代の多くの会社員は、「コミュニケーション能力」を重視されてきた世代だ。経団連が実施している調査では、新卒採用で最も重視している点で「コミュニケーション能力」が15年連続で1位を獲得し続けている。
にもかかわらず、職場でのコミュニケーション不足がストレスになったり、業務に支障を来たしたりといった現状があるとしたら、不思議な結果だ。「コミュニケーション能力重視で採用されたんじゃないの?」とツッコミを入れたくなる。
大人になってから基本的な対人コミュニケーションを学ぶ機会は少ないが、子どもの頃に「相手の嫌がることはしない」等の基本は習ったはずだ。前掲したエン・ジャパンの調査では、年下社員とうまく付き合うコツとして「良いところを褒める」(72%)、「プライベートにはあまり踏み込まない」(45%)、「優しく接する」、「業務の効率的な進め方を教える」(いずれも36%)といった回答が集まっている。
コツも何も、こうした接し方の根底には、相手に一方的な価値観を押し付けないとか、相手を尊重するといった対人関係の“基本”がある。コミュニケーションは一方通行ではいけない。無用なプレッシャーをかけ相手を追い詰めたり、プライベートにズカズカ踏み込んだりしなければ、自分の言動をハラスメントだと訴えられないかヒヤヒヤすることもなくなるだろう。