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養育費を受け取れないひとり親支援、未払いの養育費を最大60万円まで保証

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Thinkstock/Photo by maroke

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 兵庫県明石市は20日、離婚相手からの養育費が不払いとなっている市民に対して、年間最大60万円の養育費の支払いを“肩代わり”する制度を11月から始めることがわかった。自治体が養育費の支払いを保証するのは全国初で、市によると今年度はモデル事業として実施し、本格導入の可否を検討するという。

 厚生労働省が2016年に発表した調査では、「現在も養育費を受けている」と回答した母子家庭は24%。養育費を受け取っている母子世帯は4人に1人しかいない。別れた夫婦の間に子どもがいれば、子どもを養育しない方の親は養育費を支払うのが一般的とされているが、支払わない親がそれだけ多いということになる。

母子世帯が貧困化しやすい理由

 同調査によると、働いている母子世帯の母親のうち、正社員の割合は44.2%と半分未満。これに対して、父子世帯の父親の正社員の割合は68.2%と7割だ。

 また、母子世帯の母親の年収は、「100万円未満」(22.3%)、「100~200万円未満」(35.8%)とかなり低い。母子世帯の母親の約6割が年収200万円以下の“ワーキングプア”と言える。父子世帯の父親では、「100万円未満」(8.2%)、「100~200万円未満」(11.7%)と2割程度で、年収200万円以下の割合は、母子世帯の母親の3分の1に留まった。

 さらに、母子世帯の世帯年収は348万円で、父子世帯の573万円と大きく差が開いた。同省の「平成29年 国民生活基礎調査の概況」によれば、「児童のいる世帯」の世帯年収は739.8万円であり、母子世帯はその半分ほどだ。厳しい生活を強いられている母子世帯がいかに多いかが伺える。

 これは「母親の職業人としての能力が低いために低賃金に抑えられている」のだろうか?そうとは限らないだろう。社会全体で男性よりも女性の方が平均賃金が低いこと、離婚まで専業主婦やパートなどの仕事に就いており離婚後も賃金水準の高い職業に就けないこと、新たに職探しをしても子持ち・時短勤務などで難色を示されることなど、複数の事情が絡み合っていると考えられる。

 冒頭に紹介した明石市の取り組みは、貧困問題を抱えるひとり親世帯にとって心強い支援策と言えるだろう。ほかにも福岡県で、養育費の不払い状況を諦めているひとり親が多い状況を鑑みて、弁護士に養育費に関する無料相談ができるクーポン券を配布する取り組みが始まっている。こういった取り組みを実施する自治体が今後も増えて欲しい。

養育費を保証するサービス

 また、養育費を一時的に建て替えてくれるサービスを提供している会社も存在する。株式会社イントラストは今年2月から、離婚が決まった子持ちの夫婦を対象に、養育費の支払いを保証するサービスを始めた。養育費が支払われなかった場合、イントラストが一時的に立て替えてくれ、支払い義務を追う親に養育費の請求をしてくれる。

 契約料は初年度だと養育費の1ヶ月分で、翌年以降はプランによって異なるが、1ヶ月の養育費の30%か50%とのことだ。離婚した父親からの養育費の平均月額は43,707円だが、つまり、まず契約料として43,707円を支払えば、43,707円を12ヶ月間受け取ることが保証されるような仕組みとなる。

 養育費の支払について、離婚時に「毎月いくらを、子が何歳になるまで」と取り決めたとしても、年月とともに支払が滞る可能性はある。こうしたサービスに加入していれば、滞納が発生しても督促などのやりとりで相手に接触しなくて済むというメリットもある。また、養育費を支払う側にとっても、支払いが苦しい月の立て替えをしてもらえる点はメリットだ。

 ただし前述したように契約料や更新保証料がかかり、送金手数料も上乗せされる。いずれにしろトラブル予防の観点から、離婚時にはこのようなサービスもあることを知っておいて損はない。

宮西瀬名

フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

twitter:@miyanishi_sena

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