「社外取締役」制度の矛盾と、「日本は女性取締役が少ない」問題の真相

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バブルの崩壊が、日本企業にも社外取締役を強制した

 先述した通り、戦後の日本では、株主の存在が希薄化した。だからといって株主がいなくなったわけではない。誰かに株を持ってもらわなきゃならない。

 そこで、仲の良い企業に株を持ってもらった。結局、互いに株を持ち合う結果になった。いわゆる、企業間での「株式の持ち合い」である。

 ところが1990年代にバブル経済が崩壊すると、多くの企業で業績が悪化し、リストラしたり、店舗や工場を閉鎖したり、不動産を売ってもカネが足りん……という時、「そうだ。ヨソの会社の株、あれも売っちゃえ」ということになった。これを「持ち合い崩れ」という。

 株式を売った日本企業があれば、当然、買った人たちがいる。それが外国人投資家だ。

 最初は少数派だった外国人投資家の比率が高まってくると、外国人投資家からクレームが寄せられるようになった。彼らの感覚は、戦前の日本に近い。

「取締役は株主の言うことを聞いて、取締役会で決めた通りに、社長以下が企業を運営していくんだよネ? でも、どうも日本のカイシャは違うデス」

 バブル崩壊後の不景気のなか、一時は、外国人投資家が株を買ってくれなきゃ、株価が下がるという状況にまで追い詰められ、外国人投資家の要望に応えるために、いよいよどうにかせざるを得なくなった。そこで、1997年にソニーが発明したのが、「執行役員制度」である。

 内部昇進型の取締役を減らして、有名な財界人や高名な学者・有識者を社外取締役に選び、取締役会を構成する。そして新たに、「執行役員」という部長と役員の間のような役職を作って、取締役会で決めた通りに、執行役員が企業を運営していく。そういう仕組みだ。

 この執行役員制度に、多くの会社が飛び付いた。そして、外国人投資家が望むような法整備が進められていった。

 外国人投資家は当然株主の立場から、企業経営がクリアーで、独立性が高く、多様性を持った第三者によって企業経営がチェックされていることを望む。つまり、「取締役会の多様性を求める動き」を強めているのは、いまや日本企業の大株主集団となっている、外国人投資家なのである。

 しかし日本では、「資産家が大株主になって、その代表が取締役になる」という古典的な意味での株式会社像がそもそも破綻しているのは、述べてきた通り。そこに、外国人投資家が想定する古典的な株式会社像を前提とした仕組みを持ってきたところで、うまくいくはずがない。

 21世紀になってから、日本企業になんとなく元気がないように感じるのは、典型的な日本人体型なのに、ムリヤリ洋装させられて、しっくり来ていないせいなのかもしれない。

(文/菊地浩之)

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