「夫婦平等」だけが家庭円満の秘訣じゃないことに気付いた

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グズり対応も夜泣き対応も“ボス”ありき

 そんなこんなで夫の中で子育てのボスは私になってしまっているから、面倒なことが起きた時も私に委ねることになる。

 私が家事・夫が寝かしつけをしている時に子供が泣いて寝ないと「ママが居ないと寝れないらしい」と呼びに来て、結局2人で寝かしつけ……と思いきや夫はそのまま爆睡。結局私はそれから子供が眠りにつくまで付き合った後、家事を済ませなければならないという非効率なことが起こる。

 夫が休みの日は私が仕事を残業して夫が保育園の迎えに行くが、必ず「何時に帰ってくる?」のメールが来るし、たまにジムなどに行こうもんなら「今どこにいる?」と聞いてきて、その場所まで子供を連れてやってくる。

 自分一人で責任持ってやってくれよ! と苛立つが、私に委ねない日は大体、お風呂に入れてなかったり歯磨きをしてなかったり、それで「疲れた」と大の字で寝てしまう。

 それに毎回イライラするのだけど、夫への怒りに労力を使うのも疲れてきてしまった。ただでさえ業務量が多いのに心まで怒りで疲れてしまうと、生活そのものにハリがなくなってくる。

 子供を世話する「夫側」が心配な限り、これからも私は指示出しをしてしまうだろうし、そこの部分がなくならない限り夫は絶対変わらないだろう。

 それに、毎日のように私に”小言“を言われている夫だって、きっと精神上健康な状態で生活はしていないだろう。

何が「幸せな家庭」なのかを考える

 今年の夏、たった1カ月限定だったが夫に確変大フィーバーが起きた。毎朝起きて子供の相手をし、特に指示なしでも家事に勤しみ、子供のスイミングに一緒に行った日は一切スマホをいじらず息子の様子を愛おしそうに見ている(いつもはスマホに没頭)。

 そんな時期に海に1泊旅行に行ったわけだが、前日からとうもろこしを茹で、現地につくまで車内では寝ず子供の面倒をしっかり見て、海に着いてからも楽しそうに子供と遊んでいた。

 グズっても大泣きしても、私に頼ることなく自分で対応し、それでも辛そうどころか充実した顔をしていて、これぞ私が望んでいた幸せだ! と心から思った。

 だからこんな日々が続きますように……と願ったが、あえなく1カ月で元通り。その時の落胆はすさまじいもので、私はプチ家出をした。

 でも、幸せに暮らすには夫が変わるしか方法がないのだろうか? 夫が私と同じように(指示なしに)家事をし、子育てに責任を持ち、毎日元気にニコニコ過ごしてくれるしか、幸せな生活は得られないのだろうか?

 私がそこにこだわってしまえば、きっと毎日苛立ちの連続で精神衛生上良くないし、円満な家庭とは程遠い生活になるのは容易に想像がつく。

 そんな時、とある男性ライターさんのブログに目がとまった。タイトルが『私はイクメンになりたくない』というもの。ハフポストにも掲載されたその記事を紹介したい。

 この方の家庭では、フリーランスの夫である筆者が家事・育児(1歳児)をほぼこなしていて、妻は毎日午後8時頃から翌日7時半頃まで自由時間だそうだ。周囲からは「イクメン」だと讃えられているようだが、筆者の黒岩氏はそこに対して疑問を呈している。

 妻に対し「もうちょっとやってくれよ」的な不満要素もないわけではなさそうだが、黒岩氏は根本的に「不満な生活」だとは思っていないそうだ。世間を見れば、こんなに自由時間がある1歳児の母親はなかなか居ないだろうとは言っているものの、「だから俺ってすごい。俺ってイクメン」と遠回しに称賛を求めるような内容でもない。

 黒岩氏の周囲の出来事として、子どもの夜泣きに付き合ったある男性が、「こんなことする男性そんなにいないよね。感謝してほしい」と妻に言い、感謝されるどころか、言い合いになった話を紹介していた。

“「他の男性と比べたら」とか「他の女性と比べたら」という議論を我が家に持ち込んだら、私たちの家族は崩壊する。そして、「イクメン」という言葉が、他の男性との比較で使われているように思えてしまうため、私は、それを素直に受け取ることができなかったのだということがわかった。”

 なるほど。他者との比較や世間の常識を指標にして、自分の家庭にあてはめようとすれば、きっとどの家庭にだって多少の無理は生じるに違いないし、自分の家庭に合ったやり方を遂行すれば勝手に(自動的に)比較され「イクメン」と持て囃される……これには違和感しかない、ということなのだろうか。

 その記事には、ハッとするような持論が述べられていた。

 “男性が女性より育児家事をやっていない今の日本の現状はよくない。でも、性別ごとの育児家事分担率ばかりにとらわれすぎて、より大事なものを見失ってはいけないとも思う。私は、女性が家事育児をすべてやっているが、円満な関係を築いている夫婦と、家事育児の分担は対等だが毎日喧嘩をする夫婦だったら、前者の方がより健全な生活をしていると思う。”

“「イクメン」になることは、あくまで、良い家族関係を築くという目的を達成する手段の一つにすぎないはずなのに、今の日本は「イクメン」になること自体が目的化してしまっているように感じられる。”

 目からウロコ! というところまではスッと消化しきれないものの、幸せに暮らすためのヒントがここにあるような気がしてならなかった。

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