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教育勅語を「普遍性をもっている部分が見て取れる」と評価した柴山昌彦文科相の間違い

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自由民主党ホームページより

 10月2日に発足した第4次安倍改造内閣に入閣した柴山昌彦文部科学相による教育勅語をめぐった発言が波紋を呼んでいる。

 柴山昌彦文部科学相は2日の就任会見のなかで「教育勅語をアレンジした形で、いまのたとえば、道徳などに使うことができる分野は、私は十分にあるという意味では、普遍性をもっている部分が見て取れるのではないか」と発言。さらに、「同胞を大事にするなど基本的な内容について、現代的にアレンジして教えていこうという動きがあり、検討に値する」とも主張し、教育勅語を肯定したうえ、今後の学校教育において教育勅語の一部を復活させる可能性を示唆した。

 これに対して批判的な意見が多くあがっているわけだが、教育勅語をめぐる政府の見解が問題となったのはこれが初めてではない。

 2017年3月には、閣議決定で「憲法や教育基本法に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまで否定されることではない」との見解を示している。

 ここ最近、「教育勅語も実はいいことを言っている」といった論が多く流布されるようになった。その典型が「教育勅語は現代にも通用する道徳を教えてくれる」といったものだ。

 たとえば、稲田朋美防衛相(当時)は2017年3月に「親孝行、友達を大切にする、夫婦は仲良くする、そして高い倫理観で高い倫理観で世界中から尊敬される道義国家を目指す」ということが教育勅語の教えであるとして評価する国会答弁を行っているし、また、芸人の小籔千豊も2017年3月7日放送『バイキング』(フジテレビ)で<お父さんお母さんを大切にしましょう、一生懸命勉強しましょう、まわりに感謝し、公の心で社会貢献しましょう、みたいなことガッチリ書いてありますよ。何があかんの。ええことと悪いことがゴチャゴチャになってると思うんです>と発言している。

 今回、柴山文部科学相が発した「普遍性をもっている部分が見て取れる」という発言も、これらと同じ方向を向いたものといえるだろう。

 確かに、教育勅語には「親に尽くしなさい、兄妹姉妹は仲良くしなさい、夫婦は仲良くしなさい、友だちとは信じ合いなさい、言動・行動に気をつけなさい、勉強して技術を身につけなさい、世の中人のためになる仕事をしなさい、法律に従いなさい」といった、現在でももっともらしく響く項目も含んだ一連の徳目が書かれている(合計12と解釈するのが一般的)。しかし、それをもって教育勅語を評価し、現代に復活させるべきであると論じることは、まさしく「戦前回帰」の考えであり、危険な思想だ。2017年5月に教育史学会が出した声明「「教育ニ関スル勅語」(教育勅語)の教材使用に関する声明」では、このような主張がなされている。

<「父母ニ孝」など教育勅語中の一部の文言を道徳教育に活用することは認められるとの見解が内閣官房長官や閣僚からも提起されているが、教育勅語に記述された徳目が一体性を有して「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」に収斂することは、その文面を読めば明らかである>

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