政治・社会

ガソリン価格高の裏にトランプ戦略 原油高騰が日本の社会保障制度を揺るがす未来

【この記事のキーワード】
gasorinn1004

Thinkstock/Photo by NithidPhoto

ガソリン価格は4年振りの高値

 9月末のレギュラーガソリン価格は全国平均の店頭価格で154.1円/リットルとなり、約4年ぶりの高値をつけました。150円以上の高値が4か月以上続いていることになります。米国でもガソリン価格が上昇していて、トランプ大統領は原油価格を吊り上げているOPEC(石油輸出国機構)を批判しています。しかし、その批判をよそに、ガソリン価格も、そのもとになる原油価格も上昇を続けています。

 原油価格の代表銘柄である北海ブレントの価格は、2014年には一時1バレル30ドルを割り込むまで下げましたが、その後上昇を続け、この9月末では83ドル台まで上昇しています。今年になって4割以上も上がりました。原油価格が上がると、ガソリン以外でもエネルギー関連の価格が上がります。灯油などの燃料のほか、電気代、ガス代なども上がります。

 8月の全国消費者物価指数は、価格の振れが大きい生鮮食品を除いたベースで前年比0.9%上昇していますが、そのうちの0.55%をこのエネルギー関連が押し上げています。日本の消費者はそれだけ高いエネルギーを買わされていることになり、産油国に増税され、賃金や年金が0.6%近く目減りしているようなものです。

 自動車社会の米国ではガソリン高の影響は日本よりも大きく、11月の中間選挙が近づいていることから、トランプ大統領はこのガソリン高をもたらしている原油価格高に言及し、OPECが価格を吊り上げていると批判したのですが、その効果はなく、市場では原油価格がまた1バレル100ドルに上昇するとの懸念が高まっています。

原油価格を左右する政治力

 モノやサービスの価格は一般に市場の需給で決まると言われますが、原油のように生産国が一部に限られた市場では、OPECのような生産・価格カルテルが組成され、彼らが価格決定に大きな力を持ちます。世界の産油量のうち、OPECのリーダー、サウジアラビアと、非OPECのロシア、米国がいずれも日量1000万バレル強を生産し、この3か国だけで全体の4割近くのシェアを占めています。彼らが石油の生産を増やすのか減らすのかが、原油価格に大きな影響を持っています。

トランプ大統領が原油高の主役

 このところの原油価格高は、OPECのせいにするトランプ大統領自身と深く関連しています。と言っても、米国が減産したわけではありません。その代わりに、原油生産ビッグスリー(米国・サウジアラビア・ロシア)に次ぐ影響力を持つイランやベネズエラに対して、トランプ政権が経済制裁を強化し、両国からの石油の供給が大幅に減ってしまうからです。昨年の両国の原油生産量はイランが日量約400万バレル、ベネズエラが日量200万バレル弱で、合わせると600万バレル近くになります。

 トランプ大統領は2015年にイランと欧州諸国や中国、ロシアとの間で交わされた核合意を否定し、イランに対して経済制裁を発動しようとしています。具体的には各国にイランの原油を買わないように圧力をかけ、イランと取引する金融機関などにも制裁を課そうとしています。日本は古くからイランと取引があるのですが、米国からの圧力で、イラン産原油の輸入を大幅に減らさざるを得なくなっています。

 イランへの制裁でどれだけイランからの供給が減るのか不透明ですが、半減して200万バレルくらい減る、との見方が出ています。またベネズエラへの制裁と、ベネズエラの経済危機から、こちらの原油供給も大幅に減っています。両国からの供給減がすでに原油価格を押し上げていますが、トランプ大統領の制裁強化で、さらに原油供給が減ると見られています。

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。