ガソリン価格高の裏にトランプ戦略 原油高騰が日本の社会保障制度を揺るがす未来

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米国は世界一の産油国に

 ガソリン価格が上がって国民が困るというのなら、トランプ大統領はイランやベネズエラへの制裁をやめれば済む話ですが、トランプ大統領にその気はありません。米国はサウジアラビアやロシアを抜いて今や世界一の産油国にのし上がり、原油価格高の利益を自ら享受する立場になったからです。

 原油高をOPECのせいにして批判しているのは11月に予定されている中間選挙を意識したものですが、産油国としての利益も大きいので、本気で原油価格を下げようとしていません。市場もその足元を見透かすようになっています。米国は国内で操業するベネズエラの石油会社を差し押さえ、さらにベネズエラの石油資源の中心であるオリノコ川流域の石油利権を、経済危機に乗じて米国の石油資本が押さえようとしています。

 イラン、ベネズエラへの制裁は、結果として米国の石油業者、石油資本を利する形になっています。トランプ大統領がガソリン価格高を批判しているのは、中間選挙までの「ポーズ」と見られ、本音では原油価格高を歓迎しているはずです。

OPECの増産にも限界

 イラン、ベネズエラからの石油供給減少をカバーすべく、OPECとロシアは増産の意向を示し、すでに生産水準をかなり高めていますが、増産余力があるのはサウジアラビアくらいと言われています。イラン、ベネズエラ両国の減少分をカバーしようとすると、サウジアラビアの生産も限界に近づき、もしそれ以外の国で供給が減るような「事故」が起きた場合、どこもこれをカバーできなくなり、「油断」が生じることになります。現代において、かつての石油危機時のようなパニックになると、収拾がつかなくなります。

 このため、サウジアラビアなどOPEC諸国も、いざという時に備えてある程度の増産余力を残しておきたいというのが本音のようです。そうなると、イラン、ベネズエラの供給減を、OPECが増産でカバーしきれず、需給がさらにひっ迫する可能性があります。米国が世界のリーダーであった時代には、こうした事態への配慮も期待できたかもしれませんが、「私は米国の大統領であって世界の大統領ではない」と言ってはばからないトランプ大統領に、事態の収拾を期待することはできません。そうなるとやはり原油価格が100ドルに向かって上昇を続ける可能性が高くなります。

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