「ママ友あるある」と「スピリチュアルあるある」のリアリティが詰め込まれたスリリングな小説

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 物語に登場するスピママの1日は、朝目覚めると雨が降ろうが曇りだろうが太陽をイメージして、エネルギーをチャージすることから始まります(太陽ぱくぱくファーストレディこと鳩山夫人みたい)。レイキ修行のごとく呼吸法をひととおり行い、夜は瞑想も取り入れる。「食育の勉強」と偽り姑に子どもを預け、リーディングやヒーリングができるようになるセミナーへ通い、自分のトラウマと向き合いスピリチュアル生活にどっぷり。

 自称霊能者からヒーリングと称したセクハラをありがたく受ける描写は、ホラー展開と言っていいでしょう。「高次元の魂を感じなさい」と言いながら挿入って……! なんつーおぞましさ。そうそう、パワーストーンを浄化したりパワー注入するために店に通わせる常套手段も、スピあるあるで笑わずにいられましょうか。

 ママ友グループの間で、スピママはスピ界を小出しにジワジワ浸透させていきます。小学校受験のストレスで不調が出たというお悩みには、心を落ち着かせるグラウディングやヒーリングをオススメ。自分の子どもは前世の魂を浄化することでアトピーが改善した! と熱く語る。誰かを騙そうと言う気はなく、本気でよかれと思ってやっている話の通じなさも、ひたすらリアルです。

みんないろいろあるけれど

 他のママたちも同様に何かしらの問題をかかえていて、エログを書き戦隊ヒーロー俳優に欲情するママや、高圧的なマスコミ夫に愛想が尽き絶賛不倫中のママなども登場。どのママにゾワッと来るかで、自分の許容範囲が分かったりして?

 この物語の凄いところは、そんな表面上からは分からない闇を抱え、時にぶつかり鬱陶しさを感じつつも、最後は団結して爽やかに終わるところ。夫婦関係もママ友関係も子どもに関するお悩みも、清濁併せて飲みこんで「ランチに行こうね」と言い合う母親たちに、したたかな強さを感じます。

 お受験殺人やら栃木ママ友いじめ殺人事件やら、暗黒堕ちしたママ友ワールドの印象が頭にこびりつき「ママ友こわー」と震えているプレママがいらっしゃるようでしたら、コレを読めば少し爽やかな風が吹き込むことでしょう(ほろ苦テイストだけど)。1点難所を挙げるなら、「帝国ホテルのランチ食いてえ……!」なる欲が湧き出ることでしょうか。そんなオサレランチに、誘われてみたい。

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