【ヅカヲタ女医の「アモーレ!宝塚ショー」】特別編
ミュージカル『エリザベート~愛と死の輪舞~』
宝塚ファンの女医、wojoです。つい先日、宝塚歌劇月組『エリザベート~愛と死の輪舞(ロンド)~』について書かせていただいたばかりですが、なんとその宝塚大劇場公演『エリザベート』において、二番手スター・美弥るりかさまの休演という大事件がありました。
休演が発表された9月22日はwojo、仕事上の心配事があり、気持ちが上がらない状態でした。そんな状態のまま病院業務の合間に医局に戻り、何気なく携帯を見たら美弥さまの休演ニュースが!! ウソ!!!
以降はそれまでの心配事が一気にどこかに吹き飛び、美弥さまのことで頭がいっぱいになってしまいました。美弥さまは同27日には復帰され、休演は幸いなことに短期間で終わりましたが、その数日間、wojoも落ち着かず、また周りの月組ファンは動揺に次ぐ動揺、並びに混乱に次ぐ混乱……といった様相を呈しておりました。
同作において美弥さまは、オーストリア皇帝であるフランツ・ヨーゼフの役。つまりエリザベートの夫という、とてつもなく重要なお役です。そこでこのフランツの代役は、三番手の月城かなとさまに。そして月城かなとさまが演じられていたルイジ・ルキーニ役の代役は、このお役を新人公演で演じられた、まだ研究科5年の若手・風間柚乃さま(故・夏目雅子さんのめいごさん)が演じられました。そして代役公演初日は、昼・夜共に15分遅れでの開演。たった15分しか遅れずに、キャストがガラッと代わった公演を見せることができるなんて、宝塚ってどこまですごいんですか!
美弥さまのファンの方々の嘆きといったらなかったでしょう(そりゃそうです)。しかしその一方で、「代役公演を見たい!」と、急遽兵庫県の宝塚大劇場にはせ参じるファンが続出したこともまた事実。wojoの周りにもそのようなファンがおりました。
その彼女は週末に合わせて遠征し、劇場近くのホテルに宿を取り、朝の4時ごろ当日券の列に並ぶために劇場に向かったところ、まだ始発電車が走る前だというのにすでに暗闇には数百人の方が並んでいたそうです……。
ひいぃ! 近所にお住まいの方か、深夜に車で駆けつけたのか、はたまた近隣のホテルで仮眠を取ったのちに明け方から並んでいるか……。観劇にかける宝塚ファンの情熱は、並大抵のレベルではありません!
普段は脇を固める実力派の真那春人さまが
主要級の方の休演であればあるほど、大きなニュースとなってしまう代役公演。休演理由はたいてい体調不良やケガといったものですから、発表されるのは常に突然。最近では、2016年雪組の宝塚大劇場公演『浪漫活劇 るろうに剣心』があります。
同公演では出演者にインフルエンザが流行し、複数人が休演。wojoの観劇日には、武田観柳役の彩凪翔さまが休演され、真那春人さまが代役として演じられておりました。といっても実力派である真那さまのことですから、とても素晴らしい観柳像をつくっておられました。実力派とはいえ普段は脇を固めることが多い真那さまが、この公演のフィナーレでは大階段の中央を主要キャストとして満面の笑みで下りてこられ……そのお姿を見て、wojo、柄にもなく目頭を熱くしたものです。
ネット情報よりも早い、宝塚ファンの“クチコミ情報”
トップスターさまの代役公演というものも、実は歴史をさかのぼると珍しくありません。1993年花組東京宝塚公演『メランコリック・ジゴロ~あぶない相続人~』『ラ・ノーバ!』では、トップスターの安寿ミラさまが、数日間ですが体調不良で休演しておられます。
お芝居のほうで主役のダニエル役であった安寿さまの代役は、当時三番手スターだった愛華みれさま。しかし安寿さまの休演初日だけは、新人公演で主役を演じられた匠ひびきさまが代役を務められました。たまたまこの日観劇に行っておりました、まだファンになりたてで初々しかった頃のwojo、劇場前でチケット争奪戦が勃発し、一枚のチケットに複数人が群がり、各方向に引っ張られビリビリと破かれるという事態を目の当たりにし、大いなるショックを受けた記憶があります。今思えば、「代役公演で頑張っておられるスターさんたちを応援したい!」というファンの強い気持ちの表れだったのでしょうが……。
長期にわたる代役公演としては、同じ1993年に、星組トップスターの貴公子・紫苑ゆうさまがアキレス腱断裂によって、宝塚大劇場公演『うたかたの恋』『パパラギ~極彩色のアリア~』をまるまる休演されるという非常事態もありました。この時も、宝塚ファンの皆様と共にwojoもパニック状態に。「このまま紫苑さまが再起されなかったらどうしよう……」と日々心配でたまらず、ついでに学校の授業にも身が入らず。しかしながら、約4カ月後には、東京公演においてお芝居、ショー共に復帰を果たされ、涙が出るほどうれしかったことを覚えております。
この頃はまだインターネットで情報を得るといったこともできず、宝塚ファンの方の口コミでいち早く復帰の第一報がもたらされたのでした。今でも、ネットからの情報よりも、ファン同士の口コミのほうが早いこともままありますが、そうした口コミもたいてい、とてつもなく早い上にだいたい正確。まさに、スターさんを愛するファンの気持ちがなせるワザなのでしょう。
その他、研究科7年までの若手で行われる「新人公演」においても、代役が生じることがあります。珍しいケースとしては、1998年の月組宝塚大劇場公演『WEST SIDE STORY~ウエストサイド物語~』で、新人公演で三番手格のリフ役を演じられる予定だった鳴海じゅんさまが休演された際の例でしょうか。
リフ役であった鳴海じゅんさまの代役としては、すでに研究科9年であり、新人公演はとっくに卒業されていた嘉月絵理さまが立たれました。嘉月さまは本公演のほうでもリフ役ではなかったので、wojoの周りでは当時、「そんなむちゃぶりみたいな代役があるのか!」と大ニュースになったものですが、おそらく、嘉月さまの実力を見込まれての判断だったのでしょう。
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