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在日米陸軍トップ就任のルオン少将、南ベトナム難民から米軍司令官への“数奇な半生”

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在日米陸軍司令官に就任したビエット・スァン・ルオン少将

 沖縄の基地を含め、日本各地に駐留する約2500人の米陸軍のトップ(司令部は神奈川県座間市と相模原市にまたがるキャンプ座間)に、ベトナム出身のビエット・スァン・ルオン少将がこのほど就任した。ベトナムで生まれ、難民として米国に渡り、司令官にまで上り詰めたルオン氏の半生は、まさにアメリカン・ドリームを体現したドラマのよう。ルオン少将のこれまでの歩みを、ベトナムの現代史も織り交ぜながら紹介しよう。

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2018年8月28日、キャンプ座間で行われた在日米陸軍司令官の交代式典で、就任の挨拶を述べるルオン少将

命からがらのサイゴンからの脱出

 世界遺産のハロン湾、ビーチリゾートのダナン、格安のスパなどで女性観光客にも人気のあるベトナム。しかし1975年までは、北緯17度線で南北に分割され、北部のベトナム民主共和国(北ベトナム)と南部のベトナム共和国(南ベトナム)とに分かれていた。

 ルオン少将はその南ベトナム共和国で、1965年7月26日、軍人の家庭に生まれた。父親は同共和国の海兵隊少佐だった。

 東西冷戦を背景に、当時のベトナムは、ソ連(現・ロシア)と中国が支援する北ベトナムと、米国が支援する南ベトナムとの間での戦闘が激しくなっており、ルオン少年が生まれる4カ月前の同年3月に、米海兵隊3500人がベトナム中部のダナンに上陸するなど、米国による軍事介入が本格化し始めていた。

 やがて、戦争は北ベトナム側が優勢となり、一時は50万人以上が駐留していた米軍も、1973年3月末までには完全撤退。それ以降、南ベトナム軍は北ベトナム軍に一方的に押しまくられ、後は南北統一を待つだけの状態となっていた。

 北ベトナムによる首都サイゴン(現・ホーチミン市)陥落前日の1975年4月29日夜、当時9歳だったルオン少年は、両親、そして7人の姉妹と共にサイゴンを脱出する。

 北ベトナム軍が撃ち込む砲弾が降り注ぐタンソンニャット空港をヘリコプターで脱出した一家は、南シナ海に停泊中の米空母ハンコックに着艦した。

 まだ幼かったルオン少年には、何が起きているのか理解するのは困難だった。ヘリが空母の大きな飛行甲板に着艦した際には、「僕たちどこにいるの?」と、開口一番に思わず聞いてしまったという。父親は「空母ハンコックの上さ。これからは世界中の誰も、お前たちに危害を加えることはできないよ」と答え、少年と家族を安心させた。


 その後、ルオン少年と家族は、米アーカンソー州のチャフィー基地で行われた米国で暮らすためのレクリエーションを経て、南カルフォルニアで米市民としての生活をスタートさせたのである。

憧れの父親、しかしかなわぬ南ベトナム共和国軍人になる夢

 ルオン少年にとって、南ベトナム軍のエリート部隊、海兵隊で将校を務めた父親は憧れのヒーローだった。


 南ベトナムで暮らしていた頃、父親は戦場から戻ると、戦場の悲惨な様子そのものには触れなかったものの、ルオン少年が求めれば、戦場での体験をこと細かに話してくれたという。

 ルオン少年にとって父親は目指すべき目標であり、やがては父親のように南ベトナム共和国軍の軍人になりたいと夢見ていた時期さえあったという。しかしその夢も、南北ベトナムが統一され、1976年7月2日にベトナム社会主義共和国が誕生すると、もはやかなわぬものとなる。やがて少年は、「自分を育ててくれた米国への恩返しをしたい」と、米国陸軍への入隊を決意する。

 南カリフォルニア大学では予備役将校訓練課程(ROTC)に参加、1987年の卒業と同時に米陸軍少尉に任命され、その後、昇進に昇進を重ね、2014年8月には、ベトナム生まれのアメリカ人として初めての将官、准将となる。


 米国に暮らす約150万人のベトナム系アメリカ人にとってルオン氏は“希望の星”となり、同年8月4日、米テキサス州のフッド基地で行われた就任セレモニーには、同胞の栄達を一目見届けようと、全米各地のベトナム人コミュニティーから多数が参加した。

 セレモニー後、地元テレビのインタビューに応じたルオン氏は「移民の私が将官になった。私自身が、米憲法が謳う民主主義、自由、正義のシンボルとなっている」と自らの任命の意義について述べている。

 ただ残念なことに、ルオン氏にとって憧れの存在だった父は、1997年に他界。ルオン少将の将官昇進と、今回の在日米陸軍司令官就任の栄誉を目にすることはなかったのである。

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ロボティア編集部

人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT、ブロックチェーンなど、テクノロジー関連のニュースを配信する専門メディアを運営。国内外の最新技術動向やビジネス情報、カルチャー・生活情報なども各メディアに寄稿中。

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