ZOZO前澤友作社長の年収は?税額70億円から年収を逆算してみた

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生き延びるためのマネー/川部紀子

 ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。2018年10月、日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を約27年ぶりに更新しました。約27年ぶりという年月を考えるだけでも、凄いことなのはお分かりいただけると思います。では、その恩恵を受けているのは誰なのでしょう? このニュースに限らず、お金の格差が広がっていることを随所に感じます。

 そんな中、今もっとも注目されている人物の一人、ZOZOTOWNでおなじみの株式会社ZOZO前澤友作社長のtwitterで、個人の所得税と住民税が70億円になる見込みであることが公表されました。いったいどれだけの年収ならこれだけの税額となるのでしょう。今日は、このつぶやきを受けて、年収と税額について取り上げてみたいと思います。

税額70億円から年収を逆算してみた

 所得税と住民税を合わせて約70億円となると、いったいどのくらいの年収を手に入れているのでしょうか。長年ファイナンシャルプランナーの仕事をしてきて、自家用ジェット機を保有している人は2名お会いしたことがありますが、税額70億円の人にはお目にかかったことはありません。

 前澤氏はおそらく、ご自身が代表を務める会社や他に関与している会社からの報酬だけでなく、株式の配当などありとあらゆる収入があると思われます。そうした収入がどのくらいなのかを予想するのは難しいので、今回は純粋に会社から受け取る役員報酬だけで、年収がいくらくらいなのかをざっくり計算してみました。

 税額から年収を逆算するなんて、我ながらいやらしいという気もしたのですが、ある程度の税金の知識があれば、実はだいたいの想像ができてしまいます。また、ここまで振り切った金額であれば、逆算して出てくる年収も、いやらしいどころかもはやファンタジーの世界と感じてしまうほどの額のはず……と開き直って計算してみます。

 先におおよその答えを言うと、おそらく年収120億円くらいがいい線だと思います。前澤氏は、現在42歳で千葉県在住とのことですから、40代が支払っている社会保険料を支払い、千葉県に住民税を納めているとします。ただし細かな所得控除(税金が安くなる数字)は計算が複雑になるので今回は無視することにします。

 この場合、年収120億円ですと、所得税(復興税込)が約55億円、住民税が約12億円。合計約67億円ですから、なかなかいいところではないでしょうか。

 ちなみに年収120億円だった場合、月々の手取りは当然10億円になります。翌年納付などの住民税のルールも無視して、単純に税額を月額換算すると、所得税と住民税を毎月約5.6億円ほど納めていることになります。社会保険料は月に約300万円。つまり手取りは約4億3700万円というところでしょう。

 月収の半分以上が税金と社会保険料に回るのはいささかお気の毒……と一瞬思いましたが、お気の毒でもありませんね。毎月ジャンボ宝くじが当たっているようなものですから。

税金の常識と手取りイメージ

 最初に書いたとおり、前澤氏の世界は私たちにとってファンタジーのようなものです。せっかくですから、これを機会に税金の常識やルールをまとめておきましょう。

 まず収入が高いと、その半分以上が所得税と住民税に消えていくことがわかっていただけたと思います。実際には節税対策を施している人も多いですが、純粋に計算するとどうしても半分以上が税金となります。

 所得税の税率は5%から45%まで7段階に分かれています。これは「累進課税」というルールによるもので、所得が高ければ高いほど税率が引き上げられるルールになっています。

 最大ランクの45%に住民税の税率10%をプラスすると、税率は55%。実際には年収に税率をかけるわけではなく、各種計算後の「課税所得」に税率をかけていくのですが、税率55%と想像するだけで高所得者の税額が高いことはイメージしてもらえると思います。

 とはいえ繰り返しますがこれはあくまでファンタジーのようなもの。一般の給与所得者を想定して3つの年収でシミュレーションしてみましょう。全て、前澤氏の例と同様、千葉県在住、40代単身とします(手取りは計算過程の端数処理による誤差があります)。

・年収1200万円
 所得税:約124万円
 住民税:約81万円
 社会保険料:約140万円
 ★手取り年収:約856万円(手取り月収:約71万円)

・年収600万円
 所得税:約20万円
 住民税:約30万円
 社会保険料:約91万円
 ★手取り年収:約458万円(手取り月収:約38万円)

・年収300万円
 所得税:約5万円
 住民税:約11万円
 社会保険料:約47万円
 ★手取り年収:約236万円(手取り月収:約20万円)

いくら引かれてもお金持ちはやっぱりお金持ち!?

 累進課税によって高額所得者が多く差し引かれるのは、ある意味よくできた仕組みにも思えます。

 高額所得者からすれば損をした気分になるかもしれませんが、いくら引かれても残る金額(絶対値)が多いのはやはり強みです。例えばコンビニで水を買った場合、どの商品もだいたい110円ほどです。モノの値段は所得の額によって変わることがありません。生活必需品も多少の高い安いはあっても知れていますよね。

 ブランド品、高級車、海外旅行、趣向品などは高いので、高所得者でも分別なく浪費すればお金は尽きてしまいますが、平均的な暮らしの感覚を失わなければ、高額所得者の方が懐は痛まないのです。

 来年は消費税が10%に上がる予定です。スーパーで買えるような飲食料品や新聞などの税率が据え置かれる、外食や酒類は10%に増税されるなどの低所得者対策はあるようですが、手取りに占める消費税の割合はどうしても低所得者の方が厳しくなると思われます。

 所得税や住民税の仕組みやモノの値段と消費税を考えると、やはりこれからもっと金銭面での格差が広がっていくでしょう。いくら叫んでも制度は簡単に変わりません。だからといって何もしないのではなく、この差を埋めるべく自分で工夫することこそが大切です。

 自身の稼ぎ方を考え、得する、または、損しない情報・知識、そして、実際に行動を起こし実践するかどうかが今まで以上に重要になってくるでしょう。前澤氏の税額公表のツイートから転じて感じたことは、これからの日本の格差でした。

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