トヨタも参入のカーシェアリング、「所有」より魅力的でシンプルな「共有」

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 昨今、シェアハウスや自転車シェアリング、ライドシェア、シェアオフィスなど、「所有」から「共有」という利用方法が普及してきている。

 車に対するニーズも、「所有」から「共有」、もしくは「使用のみ」に変化しつつある。10年前には3,000人余りしかいなかった国内のカーシェアリング登録会員数が、2018年に132万人を超えたのだ。

 車に乗りたいが所有には税金や車検代、駐車場代、保険料など、何重にも維持費がかかる。所有欲の薄い人にとっては、その煩雑さを省いたカーシェアリングはとても使い勝手の良いサービスだ。

増え続けるカーシェアリング利用者

 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の『わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移』によると、2018年のカーシェアリングの登録会員数は約132万人と前年比22%も増加している。

  同時に、カーシェアリング用に登録されている車両の数も2万9200台と前年比19%の増加を見せている。まだまだ自家用車の6,000万台にははるかに及ばないが、注目すべき増加状況を示しているといえる。

カーシェアリングをためらう理由は月額基本料

 カーシェアリングの利用者は、今後さらに増加していくと考えられる。というのも、これまでカーシェアリングに二の足を踏む大きな要因だった月額基本料金が、無料化し始めているためだ。

 車を所有するより必要な時だけシェアしたほうが良さそうだと思っても、まったく乗らないのに基本料金を支払うことに抵抗を感じていた人は少なくない。これに対して、各社が対応し始めたということだろう。

 仮に基本料金を無料にした分を毎回の利用料金に上乗せしたとしても、まったく使わなかった月の出費がゼロになるという安心感は大きい。実際、入会したものの利用頻度が低かったため、基本料金が損になると考えて退会する人がいたという。

 これまでにNTTドコモのdカーシェア、オリックスカーシェア、カレコ・カーシェアリングクラブ、大和リースのD-share、アースカーが月額基本料金の無料化に踏み切っている。つまりこの流れは、業界の主流になっていくに違いない。

マイカーは利便性が良いが、負担も大きい

 最近の若者は車を欲しがらない、と言われるが、これは物欲の減少が理由だとは言い切れない。

 一般社団法人日本自動車工業会が2018年3月に発表した『2017年度 乗用車市場動向調査』によれば、「2年前と比べて乗用車・バンを減らした理由(複数回答)【四輪自動車保有世帯】」の1位は、「車検費用が負担」だ。また、同調査の「現在非保有の理由(複数回答)」では、同じく1位が「ガソリン代や駐車代が負担」で、やはり2位に「車検代が負担」が入っている。

 つまり多くの人は、マイカーを所有するコストが高すぎると感じているのだ。いや、感じているだけでなく、負担できないのかもしれない。

 マイカーを持たない人が、車の利便性を否定しているわけではないことは、カーシェアリングの会員が増加していることから明らかだ。つまり、車検代やガソリン代、駐車代の負担さえなければ、車は使いたいと考えている人は少なくないのだ。

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