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家計の見直しに“節約”はほとんど効果なし 我慢でお金は増えない

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okane1011

Thinkstock/Photo by Photobuay

 世の中が不景気になってくると「節約」がブームになります。書店には節約のノウハウを記した“節約本”の類いがあふれますし、ファイナンシャルプランナーの人たちの中にも「節約」指南が得意な人たちもたくさんいます。

 実際に節約本などを見ると、“電気はこまめに消す”だの、“風呂の残り湯の利用法”だのといった、実に細かいことがたくさん書かれていて驚きます。サラリーマンだった私から見ると、これってどことなく何かに似ているような気がします。それは景気が悪くなってきたときの会社の経費節減とまったく同じなのです。

ほとんど効果のない経費削減の3K

 会社の業績が悪くなってくると真っ先に削られるのが3Kと言われるもので「交通費」「交際費」「広告宣伝費」です。「タクシーは使うな!」、「飲み会は禁止!」、「広告はなし!」。いずれもとても目に見えてわかりやすいものばかりです。

 しかしながら、企業が本格的にコストを下げるための構造改革をしようと思うと、その方法はたった2つしかありません。1つは製造業の場合、「製造原価を下げること」そしてもう1つは「業務プロセスの効率化」です。人員削減などもこうした施策の結果として出てくる方法論の1つに過ぎません。

 ところがこの2つを実行するためには時間もかかりますし、自社のみならず取引先との交渉なども必要になってきますから、すぐに実行することはできません。いずれの方法も少なからず痛みを伴うことは確かです。そこでわかりやすい3Kが登場してくるのです。

 さらにもっとバカバカしいのは、「コピーで裏紙を使え」とか、挙句は「トイレットペーパーを二重から一重のものにしろ」といった類いの指示です。こんなことで経費削減の効果が上がるとはとても思えません。しかしながら社員の気持ちを引き締めたり、危機感を植え付けたりするという意味においては一定の効果は見込まれます。

節約でお金を貯めることはできない

 家計においてもこれは同じで、前述の電気の消灯とか風呂の湯の再利用などは、実行することで「自分はこんなに頑張ってるんだ」という意識を高める心理的効果はありますが、実際に経済的な面で判断するとそれほど効果は高くありません。

 節約するということ自体、別に悪いことではないのですが、節約では決してお金を貯めたり増やしたりすることはできないというのが私の考えです。お金を増やすためには具体的に目に見える形でキャッシュフローが生まれ、それを別の方法で貯蓄なり投資なりをしていかなければなりません。

 つまり具体的な金額目標を設定して節約したものを金銭に換算していかなければ、何もなりません。ところが節約は往々にして、それをすること自体が目的化してしまっていることが多いのです。そこからキャッシュフローが生まれてこなければ何も意味はありません。さらに節約するというのは“必要なものでも買わない”、“欲しいものでも我慢する”というニュアンスがあります。すなわち、心の苦しみや不満を伴うのです。ストイックに節約するのは一時的に心理的効果があったとしても、決して長続きするものではありません。

「節約」よりも「無駄をなくす」

 私は本当にお金を増やすのであれば、「節約」よりも「無駄をなくす」ことのほうがはるかに重要だと考えています。私は人生における最大の無駄は「保険の入り過ぎ」と「不用意なローンの利用」だと思っています。入りすぎている保険を見直したり、ローンの借り換えや繰り上げ返済することによって無駄な金利を減らしたりするほうが、すぐに何万円もの効果が現れます。お風呂のお湯を再利用することよりもはるかに有効なはずです。無駄な保険やローンをやめてその分を貯蓄や投資に回して長期に積立てていく方がはるかにお金は増えます。

 そもそも我々は誰もが公的医療保険に入って、保険料をすでに払っているのですから、民間の医療保険などはまったく無用の長物です。私自身、20年以上も前に生命保険も医療保険もすべて解約し、それらを積み立てに回しています。病気で入院した時も自己負担分はその貯金から引き出し、それでもまだ相当余りました。

 ではなぜ、そういった無駄を見直すということをしっかりやらないかと言えば、それは「よくわからない」し、「面倒だから」です。人は何事においても“感覚的”に判断しがちで、論理的に考えたり、数字を検証したりするということが苦手なのです。結果としてあまり深く考えずにわかりやすい“節約”をしようとします。

 なんでもかんでも節約という感覚にとらわれることなく、具体的な効果測定を実施していくことが大切なのではないでしょうか。

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