こんにちは。グラビア女優の石川優実です。2017年末に#MeTooについての記事を書いたことをきっかけに、「男女平等」「人権」「フェミニズム」「ジェンダー」、そのようなものに興味を持ち始めました。
この連載では、いままで無知だった私がさまざまな専門家の方々にお話をうかがい、どうすれば傷つく人たちが減るのか、被害が減るのか、すべての人が自由に安全に生きることができるのかを考えます。
今回は、主に性暴力・働き方・教育などの取材・執筆をされていて、今夏、初の著書『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)を出版された小川たまかさんにお話をうかがいました。
小川さんは、私が#MeTooの記事を公開した際に声をかけてくださり、性暴力について語るトークイベントを一緒に開催しました。
小川さんは、私のような初心者にもわかりやすい記事を書かれていて、いつも参考にさせてもらっています。今回出版された本もとても読みやすく、けれどはっきりと、いまの日本の男女の問題について指摘されており、すべての人に読んでほしい一冊です。
この取材では、主に性暴力について発信することを中心にお話をうかがいました。
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石川:小川さんの著書、私は共感する部分がたくさんありました。一番泣いたのは、「取材と暴力」の章でした。私も、いまでも自分を責めてしまう日があります。人には「あなたは絶対に悪くない」っていえるのに、自分にはそれをいってあげられない。被害を受けている人に対して絶対にいってはいけない、セカンドレイプになる言葉なのに、自分に対してはそれをずっといい続けていて、「自分がバカだった」とも思ってしまいます。
小川:自分で自分のことを悪いと思っていると、人からそれを責められたときに、その言葉を必要以上に吸収するーー以前、カウンセリングでそういわれたことがあります。自分がそう思っていなかったら他人の発言は「なんかいってるな」くらいで気にならないけど、自分を責めている人は「やっぱそうだよね」となってしまう、ということだと理解しています。
石川:そういう状態だと、味方がいてもその声がなかなか自分に届かないような気もします。守ってくれる人もいるのに、否定してくる人ばっかり視界に入ってきてしまう。自分を責めないことはすごく大事だと思いますが、なぜそうなりやすいのでしょう?
小川:子どものころに受ける教育とも関連しているのではと思います。反省や謙遜、自己卑下ばかりを子どもに求めるような教育を受けてきた人、日本では結構多いのではないでしょうか。
石川:それが、何かあったときに自分を責めやすくなってしまう習慣として、日常に定着しているのかもしれませんね。
自分に自信があったら被害に遭わなかったかも
石川:あと「外見をほめられたら必死で否定しなければいけないあの雰囲気について」という章の内容とも関係してそう。小川さんが書かれていたとおり、小学生女子の定番の悪口って、「あの子、絶対自分のことかわいいと思ってるよね」でした。私も10歳くらいのとき、ある女の子に「かわいいね」といったら「ありがとう」っていわれて衝撃を受けました。謙遜したり卑下したりするのが日本の文化だけど、自分のことをかわいいと思っていた方が絶対幸せなのに、子どもですらそうだなんてやめた方がいいですよね。
小川:自分のことをかわいいと誰もが思っていたほうが、幸せですよね(笑)。
石川:私自身のことをふり返ると、子どものころから自分をかわいいと思えてたら、もしかしたらあまり性犯罪遭わなかったかも、と思いました。というのも私のケースは、自分で「自信がない」と思っているところを加害者に狙われたケースばかりなので。あのとき自信があったら、「こいつ何いってんの?」と思えていたのかなぁ。日本のそのような教育、私は反対だな。
小川:そうですよね。あと先日、イギリスの刑法性犯罪や被害者支援などを視察しにロンドンに行ったとき、100年以上前に起きた女性参政権運動の様子を描いた切手を見せてもらったんです。女性がアクションを起こして権利を獲得した歴史がちゃんと伝えられていました。日本だとどうだろう。闘った女性がいて、彼女たちは男性と同じ選挙権や職業選択の自由を求めるだけで叩かれまくった。でもそんな闘いなんてなく、「みんなで、そういう世の中にしたんですよ」みたいな。