いまの日本社会で、女性が性暴力や女性差別について発信するとはどういうことか

文=石川優実
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小川:ひとつ思うのは、「被害者の人生が変えられたことは証明がしづらい」という問題です。痴漢被害に遭いつづけたことでちょっとずつ学校に通いづらくなって成績が落ちて希望の大学に進学できなくなるとか、被害の影響が何年も経ってから明らかになることがあって、その因果関係が見えにくいんですよね。成績が落ちたのだって周囲から「性被害のせいにしているけど、あなたの努力が足りないだけ」といわれ、本人もそう思っていたりします。

かたや、「セクハラ告発されて人生終わった」はわかりやすい。いじめ自殺の問題で、「自殺といじめの因果関係が証明できない」といわれるのと似てます。いじめの問題でも、加害者は「未来があるから」といってかばわれますよね。被害者が失ったものは、加害者がこれから失うものと比べて目に見えづらく、理解されづらく、軽んじられやすいです。

石川:悲しかったことの話が長くなりましたが、逆に、うれしかったことはなんですか?

小川:これまで性暴力について発信してきてうれしかったのは、同じように性暴力を「許せない」と思っている人たちとたくさん繋がれたことです。その道の先輩たちと仲よくできるのがうれしいです。

同じ思いの仲間とつながれた!

石川:自分が発信するまでは、その方たちとの関わりはあまりありませんでしたか?

小川:ありませんでしたね。

石川:私も#MeTooをきっかけに、初めて同じ気持ちの方たちとたくさん出会いました。同じことを思っている人がこんなにいたんだ! と。性暴力のことって親しい人にもあまり話さないし、話したところでセカンドレイプみたいなことをナチュラルにいわれるし。ちゃんとした考えの人と繋がれることが、すごく貴重ですよね。自分の気持ちも楽になります。

小川:今後もきっと、こういう輪が広がっていくんだろうな、そういう人とこれからも出会えるんだろうな、という確信があります。

石川:私たちの年代はまだ同じような考え方をしている人があまり多くないんですよね。だからこそ、自分の精神状態を保つためにも理解し合える人たちと定期的に集まって話し合ったり食事をしたりする場所が必要だと感じます。

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前篇では、日本ならではのお話や、小川さんが性暴力について発信したきっかけのお話が中心になりました。私も#MeTooをきっかけに性暴力やフェミニズムなどについて勉強しはじめて、やはり海外と日本の差を強く感じていたのでたいへん共感しました。

後篇も引きつづき、女性蔑視や、女性は怒りの感情を出しにくいなどのお話を聞いていきます。

▼後篇:差別に怒りの声をあげる女性たちが“まあまあ”となだめられてしまう日本の現状

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