政治・社会

差別に怒りの声をあげる女性たちが“まあまあ”となだめられてしまう日本の現状

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こんにちは。グラビア女優の石川優実です。今夏発売された『「ほとんどなかったこと」にされている側から見た社会の話を』(タバブックス)の著者であり、主に性暴力について取材をされているライターの小川たまかさんへのインタビュー、後篇です。

前篇では、日本と海外での性暴力への意識の違いや、小川さんが性暴力について発信をするきっかけとなったお話を聞きました。後篇は、性暴力やセクハラ、日本における男尊女卑についてさらに深くお話ししていただきました。

▼前篇:いまの日本社会で、女性が性暴力や女性差別について発信するとはどういうことか

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石川:性暴力について発信している方と会話していると、「ダークサイドに落ちる」という表現がよく出てきます。女性に対して差別的な考え方をしている人と関わってしまったり、話が通じなさすぎたり、さまざまなことが原因でなんだか疲れきってしまうときのことを指すのだろうと自分なりに解釈しています。私は仲間との時間を過ごすことでそこから戻ってこれていますが、小川さんもダークサイドに落ちることはありますか? そういうときの対策は?

小川:あります。そんなとき、私は寝ます(笑)。昔はお酒を飲んでいたんですけど、ネガティブな気持ちで飲むのはよくないと聞いて。あとは落ちてしまうと回復するのが大変だから、落ちる前のケアですね。定期的に海を見にいくとか、ひとりでお出かけするとか。

石川:参考にさせていただきます。やっぱり「落ちる前に」というのが大事ですね。

小川:カウンセリングも行っていました。

石川:私もカウンセリングを考えたことがあったんですけど、一体どこに行けばいいのかぜんぜんわからなくて困りました。病院なのかな、そこで傷つくこといわれたらやだなぁと考えるとなかなか行動に移せなくて。効果はどうですか?

小川:自分の考えていることをなんでも話せるからいいですよね。カウンセリングで、最初のころにいわれて印象的だったのが、「それは正当な怒りです」っていう言葉でした。私は今年の4月まで編集プロダクションの取締役をしていたんですが、編プロって下請けなので、やっぱ下請けをバカにしたような態度を取る人もなかにはいるんですよ。

ちゃんと怒らなきゃ、自殺しちゃう

小川:そういうのに腹が立って取引先にキレて、共同経営者にたしなめられたりとかして、怒る私が変なのかな、下請けなんだから我慢しないといけないことなのかなって思ってたんですが、カウンセリングでまず「それは怒って当然」っていわれたんです。怒ってる人って「まあまあ」って“まあまあ棒”で口をふさがれて、「怒って当然だよ」っていわれることって、あんまりないですよね。でも怒っていいと思うよといわれたら、その瞬間に楽になりました。

石川:よかった、怒れて! 最近、ツイッターのハッシュタグで、「#私たちは怒っていい」というものがありますよね。日本では、怒るとみっともないと受け取られちゃう。けど、怒りたいなら怒った方が絶対いい。セクハラや性暴力に対して今まで怒らなかったから伝わらなかった、という面もあると思います。

小川:ツイッターでもリアルでも、いきなり理不尽なことをいってくる人っていっぱいいますよね。ちゃんと怒らないと自殺しちゃうと思いました。こんなことをいわれる自分が悪いとか、ここで怒る自分が悪いんだと思っていると、死んじゃいたくなるんですよ。殴られたらやっぱり怒んなきゃダメですよね。怒りを表明するかどうかは人それぞれだけど。

石川:自分のなかで怒りの感情がわいてきたときに、もっとちゃんと怒れるような教育をしてほしいですね。私たちは怒り慣れていないですから。「怒っちゃダメだよ」といわないでほしい。そういわれると、怒った感情そのものがダメなんだと思ってしまいます。感情は自然と出てくるものなのに、否定されてしまう。セクハラをされたときにも、「怒りたいのに怒れない」みたいな感情があったなぁ。「こんなことで怒るなんてダメだよな」という感情がまず来たりして。

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石川優実

1987年1月1日生まれのグラビア女優。
18歳より芸能活動開始。イメージDVD30本リリース。2014年にふみふみこ原作映画「女の穴」にて初主演、同時に写真集発売、2015年には高樹澪主演「誘惑は嵐の夜に」にて準主演。
以前から男女の性の認識の違いについて疑問を持っており、ブログで性やセックスについて積極的に発信していた。2017年末に自身が受けた芸能活動での性暴力を#metooとして告白し話題に。以降、性暴力や人権・男女平等などについて勉強中。本当の意味で「男女」という違いをより理解し、みんなが幸せに生きられるように活動している。

twitter:@ishikawa_yumi

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