社会

差別に怒りの声をあげる女性たちが“まあまあ”となだめられてしまう日本の現状

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石川:私はうまくいじりあってる人たちを見て面白そうだと感じるんですけど、自分自身はうまく空気を読んで、どの程度なら大丈夫などの判断がつかないから、最初からやらないって決めてるんです。人をいじめることになりたくないし。セクハラもなんでそうしてくれないんだろうと思います。わからないならやらなければいい。

男性が女性のことを性的な目で見ることは、評価だと思ってるからおかしくなるのかな。こっちは評価してやってるのに、そんなにイヤがるなんておかしいだろという感情なのかな。

小川:人それぞれ、いわれてイヤなことは違うし、コミュニケーションのとり方も違うから、当たり前だけど「人のイヤなことはしない」ですよね。「イヤです」といわれたときに「拒絶された」「生意気だ」と受け取るのも過剰な反応だと思います。「そっか、ごめんなさい」でいいのに。

石川:財務省のセクハラ問題でも加害を指摘された本人が「申し訳ないことをした。ごめんなさい」と早々に謝っていれば、その後の展開も違っていたんじゃないかなと。女性がイヤがっていた、傷ついていたという事実があるんだから、自分がそのつもりがなくてもまずは謝るのが大切だと思うんですけどね。どうしてそれができないんでしょう。

小川:こっから一歩も動かんぞー! 謝ったら負け! 俺を1%でも否定されたくない! という感じですよね。

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小川たまかさん

石川:勝ち負けでも、その人自身を否定しているわけでもなくて、「私はこれをされてイヤだったんです」といっているだけなのに。わざとじゃなかったり悪意がなかったりしても、相手を傷つけたら謝るっていう、シンプルなことじゃないですか。

小川:少し前に、美容系の情報をYouTubeなどで発信している人が、「美白」という言葉を使わないようにしているというツイートを見ました。色が白いほどいいということを表す「美白」は差別的、という指摘があるからだそうです。いままで自分がなにげなく使っていた言葉を、それで傷つく人がいると知って、使うのをやめる。自分が変わる。知ったことで変わろうと思ったというのは、すごく柔軟な考え方だと思いました。

変われないって、かっこ悪い

小川:女性に挨拶代わりに性的な言葉を投げかけている人たちも、女性が傷ついていると知ったら、「絶対変わらん!」「これは差別的じゃない!」と言い張るのではなく「そう思う人もいるんだ」とまず気づいてほしいですよね。「窮屈な世の中になった」というけど、いままではずっとあなたが誰かのことを窮屈な気持ちにしていたとは思わないんですか? といいたいです。

石川:昔は使われていた「オカマ」とか「ガイジン」とかだって、いわなきゃ死んじゃうわけでもコミュニケーションが取れなくなるわけでもないですよね。同じく、挨拶代わりに性的な言葉を投げかけないことで、その人に負担ってないと思います。なのに変わろうとしないし、変わらない自分を正当化する人たちがいます。差別的な言葉だとわかってるのに頑なに使いたいというその気持ちは「人に対して嫌がらせをしたがっている」ということだよ、と感じますね。変われないって、かっこ悪いです。

そのような人にもなんとか伝わるように、私もこれから地道に発信を続けていきたいなと思っていますが、小川さんは今後、目標や希望など、「こうなっていったらいいな」と思うことはありますか?

小川:性暴力と密接に繋がっていると思うので、働き方と教育の問題にも取り組んでいきたいですね。

石川:ありがとうございました。今後も小川さんの著書や記事から、性暴力へ理解がない人への伝え方を学びたいと思いました。

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小川さんのお話をお聞きして、私はまだまだ性暴力などについて発信しはじめて少しの時間しか経っていませんが、それでも共感できることがたくさんありました。

同時に自分が、小川さんの見ている社会、いまの自分が見ている社会を「ほとんどないことにしている側」から見ていたときのことも考えました。

私も少し前までは、そちら側だったんです。女性差別なんてないよ、といっている側だったんです。だから、いまそういっている人を責めることはできません。

けれどこちら側に来た以上、わかってもらうことをあきらめたくないんです。

信じられなくてもいい、理解できなくてもいい。それでも一度、私たちが見ている世界の話を聞いてもらえませんか? 知ろうとしたときが、被害に遭ったとき、加害をしてしまったときではつらすぎるから。

小川さんが今回出版されたこの『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』や、普段書かれている記事はどんな人にもわかりやすく、率直にいまの日本における男女問題が書かれています。

あなたに少しでも、「他人を傷つけたくない」「大切な人のつらさを知りたい」という気持ちがあるのなら、ぜひ一度読んでみることをオススメします。

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