松本人志「死んだらみんなが庇う風潮が嫌」に批判殺到、欠けている視点は

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松本人志が伝えたかったことは?

 一方で、「松本は自殺した大本さんを責めているわけではない」と擁護する意見もちらほらあった。あくまでも松本は、この事件の扱い方次第では「自殺」が意見表明の肯定的な手段として捉えかねないことを危惧しているだけではないか、ということだ。

 もし、アイドルでなくとも過酷な労働環境に晒されている人が、大本さんの自殺を擁護するニュースを見て、「私が自殺すれば過酷な現状を見直してくれるかもしれない」「自分を苦しめているブラック企業に制裁できる」と考え、自殺を「問題提起」や「復讐」の手段と解釈させてしまったら。そのようなリスクを回避すべく、センセーショナルな部分だけを切り取るのではなく、丁寧に伝えていかなければいけない事件であることは間違いない。

 自殺に関するニュースが報道されると、それに影響されて自殺者が増える現象「ウェルテル効果」というものがある。安直な報道は、自重しなければならないだろう。ただ、松本自身も言葉に配慮が足りない点は否めない。死者に鞭打つつもりで発言したものでないのなら、「死んだら負け」「責めづらい」といった言葉は誤解を招くだろう。

命が失われる前に改革を

 大本さんの死をきっかけに、「アイドルの働き方」や「未成年者の労働教育」などが見直される展開になることが期待されるが、誰かの命を賭した訴えでようやく見直しがされるようでは遅すぎる。

 現在、政府が推進している働き方改革も、電通社員の過労自殺が大きく報じられたことを契機にしている。日本企業の働き方は長らく問題視されており、もっと早く見直されていれば、救うことができた命はいくつもあったかもしれない。

 追い詰められたとき、「死ぬ」という選択肢以外で、現状の辛さを伝えられる手段についても検討の余地がある。家族や友人に相談できない、頼る相手がいない、誰にも心配をかけたくない、冷静な思考がもう出来ない――それほどまでに追い詰められる前に、信頼し相談できる有効な第三者機関はどこか。

 大本さんの事件に関する報道では、「いかに事務所が酷いことをしたか」等のインパクトの強い部分だけに焦点を当てず、今後の課題についての議論をすべきではないだろうか。

労働基準監督署(0120-811-610)

日本いのちの電話連盟(0570-783-556)

チャイルドライン(0120-99-7777)

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