医学部不正入試につながる医療現場の過剰労働、なぜかワークシェアを拒む医師も

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Thinkstock/Photo by ipopba

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 今年8月、東京医科大学の医学部医学科が女性受験生および三浪以上の受験生を減点する不正入試を実施していたことが明らかになり、大きな話題となった。この問題を受けて文部科学省は医学部のある全国の大学を対象に調査を実施。その結果、10月15日に昭和大学医学部の小出良平学長と小川良雄医学部長が会見を開き、同大学でも不正入試があったことがわかったと公表した。昭和大学では、現役および一浪の受験生に加点、また同窓生の子女を優先的に合格させる、いわゆるコネ入学が横行していたという。

 東京医科大学の不正入試問題が明らかになった際、「でも、女性より男性を医師にしたいのは当然では」「医者は激務なので、女性は向かない」といった擁護派の声も意外なほど大きかった。

 厚生労働省は2017年8月から今年9月までの一年で、10回にわたり「医師の働き方改革に関する検討会」を開き、医療現場の働き方を見直す動きを見せている。医師不足で過剰労働となっている医療現場も少なくはない。抜本的な労働環境の改善を要する現場もあるだろう。

 しかし、10月6日の『田村淳の訊きたい放題』(MX系)に、ジャーナリストの町亞聖氏と医師の山本佳奈氏が出演し、医療現場の働き方改革が進展することは難しいだろうと予想した。

ワークシェア拒む医師もいる

 まず町氏は医療現場の深刻な人手不足に触れ、「女性の働き方を整えれば、男性医師の働き方も……」と、女性が結婚や出産をしても辞めずに働き続ける環境を整備できれば、男性医師の負担を和らげることができるとビジョンを語った。とはいえ、「『俺がいなきゃ』って考えている男性医師をいっぱい知ってます」と言い、働くことを生きがいにしている男性医師が、労働環境の改善を阻害している一面に言及。

 町氏は「あなたじゃなくても、別にワークシェアすれば良い。あとは、看護師さんとかに役割をワークシェアリングっていう」と、周囲のスタッフと連携して業務負担を分散させる働き方の必要性を主張。だが、山本氏は「『病院にずっといるのが医者だ』と未だに思っている先生はいます」と、多くの業務を抱えることを美徳としている医師は、柔軟な働き方を拒む傾向にあることを明かした。医師としての誇り、職務を全うしたいという強い意思があるのだろうが、しかしそれで現場が疲弊してしまっては元も子もないのでは。

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