キャッシュレス化後進国の日本で「現金がいい」発言は“老害”なのか?

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世界のキャッシュレス事情

 経済産業省が2018年4月に公開したレポート『キャッシュレス・ビジョン』 によると、各国のキャッシュレス決済比率は以下の通り。

韓国 89.1%
中国 60.0%
カナダ 55.4%
イギリス 54.9%
オーストラリア 51.0%
スウェーデン 48.6%
アメリカ 45.0%
フランス 39.1%
インド 38.4%
日本 18.4%
ドイツ 14.9%

 確かに日本のキャッシュレス化はかなり遅れているが、アメリカが50%に達していないことやドイツが日本より低いことは意外だ。

 では、日本のキャッシュレス化が、なぜこれほど遅れているのか。

 まず、日本のお札は諸外国に比べて偽札が少ない。次に、治安が良いので安心して現金を持ち歩けることがある。しかも持ち歩いている現金が不足しても、すぐに最寄りのATMから引き出せる。また、まだまだクレジットカードが使えない小規模な店が多い。これは店側が1~5%程度負担する手数料を避けたがるためと言われている。

 汎用性が高い電子マネーが普及していないという現状もある。各企業(楽天Edy、iD、nanaco、WAON、QUICPay、au WALLET、Suica、PASMOなど)が、顧客を囲い込むために乱立しているからだ。

 そこで、経済産業省が『キャッシュレス・ビジョン』として、キャッシュレス化を促進することになった。

 前述の『キャッシュレス・ビジョン』レポートには、「未来投資戦略 2017」で設定していたキャッシュレス比率40%の目標を、2025年の大阪・関西万博に向けて前倒し、より高い決済比率を実現すると表明されている。そのために、「キャッシュレス推進協議会」(大手銀行や楽天、NTTドコモが参加)を立ち上げ、中小の小売店がキャッシュレスを導入した場合は、決済額に応じた優遇税制も検討しているという。

 この政府の慌てぶりは、世界的なFinTechの潮流から日本が取り残されないようにするためだろう。また、少子高齢化による人手不足への対策でもある。

 一方、銀行のATMの運営コストに代表されるように、現金を使うことにより発生するコストを削減して、企業の合理化を支援するという意味もあるだろう。

 これらのことを考えれば、キャッシュレス化は間違いなく進む。ただ、諸外国に比べて遅れがちであるという日本特有の諸事情があることは確かだ。

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