「児相だけの責任に帰していいのか?」“目黒虐待死事件”専門委報告を河合幹雄・桐蔭横浜大学教授に聞く

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親権停止をためらう家庭裁判所

—-もうひとつ、結愛ちゃんの虐待死事件をめぐって議論すべきこととして、「親権停止」の問題があります。特に日本は、諸外国に比べて親権を停止する例が極端に少ないことが批判の的となっていますが……。

河合幹雄 そもそも、日本よりも海外のほうが児童虐待の数が圧倒的に多い。つまり母数が違いすぎるので比較してもあまり意味がありません。また海外では、日本ほど親の子育て義務に対する社会的な圧力がない。だからひどい親は本当にひどくて、虐待の激しさも日本の比ではありません。

 ただし、親権停止の問題を議論の俎上に載せるなら、家庭裁判所の責任は問われてもいいかもしれません。親権停止の判断を下すのは家庭裁判所です。その家裁が守りに入っているというか、「子どもは家族によって育てられるべき」という慣例にとらわれているんです。要するに親権停止のハードルが高く、児相としても、虐待から子どもを守るために親子を分離することを考えても、「どうせ家裁の許可が下りないから」と二の足を踏んでしまうのです。

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 厚生労働省の方針としても「家族再統合」が原則となっており、児相が虐待に遭った子どもを一時保護しても、その95%以上が在宅復帰しているのが現状だという。一般に「子どもは家族に育てられたほうが幸せである」とされる一方、結愛ちゃんのケースのように、例外はいくらでもある。

 児童虐待を安易に「家庭の問題」に帰結させないこと、あるいは家族の在り方に応じて国や自治体が積極的に介入していくことこそが求められているのだ。

(構成/須藤 輝)

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