人工知能の普及を高齢者が後押しする
これまで、PCやスマートフォンといったガジェット製品は、若い層やビジネス層を中心に普及してきた。子どもや孫にせっつかれて、メールやLINEなどのメッセンジャーサービスを一生懸命に学んだ高齢者の方々も多いはずである。とはいえ、字が小さくて読みづらい、操作が難しい、ユーザーインターフェースが複雑などの理由から、中高年や高齢者のなかで確固とした市民権を得るには障壁が大きかった。
一方、AIスピーカーは、「音声で指示できる」「会話もできる」というのが大きな特徴だ。おそらく開発側は、スター・ウォーズに登場する「R2-D2」のようなSF的なテクノロジーを実現させ、若年層やアーリーアダプターに訴求しようと開発やブランディングを重ねてきたはずである。が、まさか高齢者の間でまず人気を博すとは、想像もつかなかったのではなかろうか。
AIスピーカーは、音声認識の精度、および盗聴などプライバシー問題との兼ね合いから、予想されていたよりも普及スピードが遅れているという側面もある。しかし、高齢者の需要が取り込まれれば、市場として予想外の発展を遂げる可能性も否定できないのではないか。
最先端テクノロジー機器、また人工知能の普及を高齢者が後押しする――。これまで想定されていなかった新しいシナリオを想像してみるのも、とても面白い気がする。
【文/河 鐘基(ロボティア編集部)】
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