ワコールが外国人労働者の「奴隷」労働調査、問われる日本の人権感覚

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 国が挙げているお題目とは裏腹に、実際の外国人技能実習制度は、日本人があまりやりたがらないために人手不足となっている仕事を補うためのものとなっており、加えてそこでは先に挙げたように長時間労働や低賃金などの劣悪な労働環境がしかれている。

 それだけではない。前掲『荻上チキ Session-22』で安田氏は、外国人技能実習生に対して「日本に滞在中は、恋愛、結婚、子どもをつくる行為を禁止する」と明文化した規則を押し付けるという、明らかな人権侵害を行っている企業に取材の過程で出くわしたこともあると語っている。

 これだけでもひどい話だが、しかも、彼ら外国人技能実習生には逃げ場所がない。普通であれば、ブラック企業に入ってしまったとしても転職して逃げ出すこともできるが、外国人技能実習生にその自由はない。

 かといって、職場に労働環境の改善などを申し入れれば強制帰国させられる可能性があるし、労働基準監督署に駆け込もうにも受け入れ先の企業がSNSを禁止するなどして情報を遮断させようとしていることもあり、そこまで思い至らずに泣き寝入りを余儀なくされることも多い。そもそも、労基署に訴え出るのには、それ相応の日本語を扱える能力が必要なわけで、ハードルは高い。

 結果的には逃亡する以外に道はなく、法務省のデータによれば、2017年に失踪した外国人技能実習生は約7000人にもおよぶという。

 こういった状況は国際社会からも問題視されており、国連やアメリカの国務省などが状況を是正するよう再三にわたって勧告を出してきた。

 2018年10月5日には、青森市で開かれた人権擁護大会のなかでも、日本弁護士連合会が外国人技能実習制度の廃止を求める宣言を採択したばかりだ。

 そんななか、ワコールのようなメーカーがサプライチェーンにまで目を向けて労働環境の改善に乗りだすことには、大きな意義がある。

 そして、このように外国人労働者に対する人権意識を考えていくことは急務である。

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