人手不足倒産が過去最多のペースで増加 それでも賃上げしない?

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利益を従業員に還元しない企業

 ただ、企業は人手不足をいくら嘆こうとも、ビジネスパーソンのそんな思いとは裏腹に、給与アップを実施する動きはあまり見られていない。

 先日は、大手コンビニチェーンのファミリーマートが、人手不足を解消するために「スタッフはアイリスオーヤマの家電商品を最大6割引で買える」という制度を10月下旬から導入すると発表した。単純に時給を上げれば良いと思うのだが、それは難しいのだろうか。

 財務省が先月発表した「法人企業統計」では、企業の内部留保と呼ばれる「利益剰余金」が、金融・保険業を除く全産業で前年度比9.9%増の446兆4844億円となり、過去最高となった。ただ、従業員の給与やボーナス、福利厚生に充てられた割合を示す「労働分配率」は前年度比1.3%減の66.2%だった。利益を従業員に還元しようとせず、内部留保に回す動きが主流のようで、多くの日本企業の「従業員の給料は上げたくない」という強い意志が感じられる。

研修を充実させれば人材確保ができると思っている?

 なぜここまで企業側は従業員の賃上げをしないのだろうか。その答えは、労働者の現状を全く把握できていないからかもしれない。先程のマンパワーグループ株式会社の調査によると、「人手不足を解消するための戦略」という設問に、「教育研修・能力開発の充実」(54%)が最多。「手当・福利厚生の充実」(33%)、「給与の引き上げ」(29%)より20%以上も高く、従業員のニーズを全く汲み取れていない結果となった。先に引用した「退職を考え始めたきっかけ」の第1位は、「給与が低かった」なのである。

 来年4月からは「働き方改革関連法」が順次施行され、「残業時間の上限規制」や「有給休暇取得の義務化」などに着手する必要がある。これまで人手不足を残業や休日出勤でカバーしてきた企業も、法令遵守すればこれまでのような働かせ方は難しくなるはずだ。八方塞がった今こそ、多くの企業で従業員との関係の根本的な見直しが必要だろう。

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