寝る社員は働く。睡眠時間に報酬を払う会社が登場 

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睡眠報酬制度の仕組み

 CRAZY社の「睡眠報酬制度」の導入目的は、社員の生活習慣をサポートして十分な睡眠を取ることで集中力を高め、業務の生産性を向上させることにある。

 具体的には、エアウィーヴ社が開発した「airweave Sleep Analysis」というスマートフォンアプリを使用し、睡眠状態の記録を取って会社に提出する。

 その結果、1週間の内に6時間以上の睡眠を達成した日が5日間であれば500ポイント、6日間であれば600ポイント、7日間であれば1000ポイントが付与される。

 獲得したポイントは、オフィス内の食堂やカフェで利用できるというものだ。また、エアウィーヴ社は、「睡眠セミナー」を行うことなどでも協力する。

昼寝を推奨する企業も増えてきた

 ところで睡眠といえば、会社では昼食後の眠気との闘いがつらいという人も多いだろう。

 しかし、眠いからといって机に突っ伏したり、目を閉じてじっとしていたりしては、「何サボっているんだ!」と評価を下げられかねない。かといって、根性で起きていても、仕事の効率はますます悪くなるばかりだ。

 そこで厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針 2014」では、昼寝によって午後の眠気防止と作業能率が改善されることを示している。根性論で頑張ることの意義が、公に否定されているのだ。

 つまり、「会社で昼寝するなどもってのほかだ!」という考えは、すでにナンセンスだ。このことから、社員に昼寝を推奨する企業が出始めている。

 たとえばダイドードリンコは、昼休みにコーヒーを飲んでから15分間の昼寝をすることを社員に推奨する「カフェインナップ」という取り組みを行っている。同社のオフィスでは昼休みは消灯し、ヒーリングミュージックが流れる。そしてコーヒーを飲んでから昼寝をすると、ちょうど起きた頃にカフェインが効き始めて目覚めが良いのだという。これを実施したところ、社員からは仕事のミスが減っただけでなく、新たな発想も湧きやすくなったと好評のようだ。

 また、西川リビングも昼食後に15分間の昼寝をすることを社員に推奨している。この社員たちの体験を元に、オフィスでの昼寝専用枕を開発したところはさすがに寝具メーカーならではといえる。もちろん、最近はこういった「睡眠」に関連する企業だけでなく、IT企業を中心に昼寝を推奨する企業が増えている。

 この勤務時間中の昼寝について、テクノロジーで睡眠課題を解決する事業を展開している株式会社ニューロスペースが検証実験を行ったところ、昼寝をした午後は高い集中力が見られることがわかっている。その結果、被験者の80%以上は、仮眠を継続したいと答えているのだ。

 以上のことから、夜の睡眠だけでなく、昼寝も生産性の向上に有効であることがわかる。

健康に取り組むことが企業の差別化になる時代

 「睡眠報酬制度」は画期的な試みだが、導入するためには企業側がいくつかの条件をクリアしなければならないかもしれない。

 1つは、帰宅後に夜遅くまで副業しなくても済むほどの給与が保証されることだ。次に、夜遅くまで働かざるを得ない社員が出てこないような組織管理が必要なこと。また、眠れないほどのストレスが仕事で発生しないこと、もしくは眠れない社員には睡眠改善薬購入や不眠治療の補助が出ること。そして、もともと短時間睡眠でも問題のない社員への公平感を解消する仕組みを考案することなどだ。

 これらの条件をクリアできる企業がどれほどあるのかわからない。「睡眠報酬制度」を採用しようとしたら、必然的にかなり労働環境を改善せねばならないだろう。その意味からも、「睡眠報酬制度」は今後も注目したい試みだ。

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