松山空港からJR松山駅まで歩いてみたら、典型的な日本の郊外だった

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松山空港からJR松山駅まで5キロを歩いていみる

 空港敷地を抜けると、さっそく前述の空港通りをまっすぐ東へ向かうかたちとなる。周辺はそれほど松山市街から離れていないこともあって、住宅や工場、商業施設などが入り交じった市街地となっている。騒音の問題で、周辺は閑散としている空港が多いなか、ここは寂しさや不安とは無縁の雰囲気だ。

 だが、率直なところ歩いていてあまり楽しくない。これまでこの連載で歩いてきたところと比べ、インパクトが薄いのだ。名古屋空港のように巨大ショッピングモールなど、目を引くような新しい建物があるわけではない。かといって岩国錦帯橋空港のように、古びた味わいのある橋や建物があるわけでもない。日本の郊外ならどこにでもあるような工場が並び、歩く横をビュンビュン車が過ぎ去っていくだけなのだ。

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松山空港から空港通りへ入ったあたり。工場や住宅が立ち並ぶ。

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商業施設が増えてきたが、チェーン系のお店が中心。

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上の写真2点とまったく違う場所なのだが、なんとなく同じ雰囲気なのがおわかりいただけるだろうか。

 500mほど進み、工場の合間に商業施設が増えてきたが、光景の既視感はそのまま。ガソリンスタンドにコンビニ、ドラッグストアにスーパーと、ひたすらチェーン店が並ぶ。さらに進むと自動車メーカーのディーラーや金融機関、斎場や携帯電話ショップなどが交じってくる。やや賑わいは出てきたものの、この土地ならではの店があるわけではない。

 この道がひたすら直線の一本道というのも、心理的につらかった。暑いし疲れるし、ときどきJR松山駅や松山市駅行きのバスに追い抜かれていく。一里塚のように現れるバス停の誘惑を振り払いながら歩く3kmあまりの道中は、これまで空港から歩いてきた中でもっともつらい時間だった。

 ようやくたどり着いた「空港通2丁目」の交差点を左に曲がり、国道196号線こと、通称「フライブルク通り」を北へ向かう。通りの名前の由来は、姉妹都市であるドイツ・フライブルク市から。片道2車線の広い道路で、歩道もゆったり。ようやく足にも力が入ってくる。

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フライブルク通りは郊外の国道のロードサイドといった雰囲気。

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新空港通りとの交差点には歩行者用信号がなく、強制的にアンダーパスへ。疲れた足腰に、階段がつらい。

 1kmあまり北上したところで「南江戸3丁目」の交差点を右折し、東進する。このあたりは一戸建てが中心の閑静な住宅街で、立派な門構えのお屋敷もある。細い道を500mほど進むと、JR松山駅の西側に出た。ここで初めて気づいたのだが、JR松山駅は西口というものがないのだった。駅の西側は待避線が並んでおり、駅舎やホームへのアクセスは不可能。地下道や跨線橋もなく、北か南へ迂回しないといけないのだった。

 近くを通る人に聞いたところ、北へ回っても南へ回っても、距離は同じくらいとのことで南へ向かう。後で調べたところ、本当は北へ行った方が半分以下の距離で済んだのだが、収穫もあった。JR四国の松山運転所の横を進むため、留置中の列車をあれこれ見ることができたのだった。結果、ヘトヘトになりながら、7kmほどの距離を2時間近くかけて歩く結果になった。

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JR松山駅の西側。留置線があるので、迂回しないと駅に出られない。

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JR四国の大人気の観光列車「伊予灘ものがたり」も止まっていた。

 さて、歩くにはちょっとしんどかった松山空港。実は「最寄り駅」ができる可能性もあるようだ。松山市駅やJR松山駅、道後温泉などを結ぶ伊予鉄道の路面電車が、将来的に松山空港まで乗り入れることが検討されているのだ。

 松山市はJR松山駅と予讃線の高架化、周辺地域の区画整備を行う予定で、それに合わせて駅西の南江戸5丁目(国道196号線・フライブルク通り)まで路面電車が延伸される。そこからフライブルク通りを南進し、新空港通りか空港通り、市道新玉49号などを通って空港へ向かう計画も、愛媛県で検討されている。松山市や伊予鉄道も計画に積極的と報じられている。

 ただ実際に歩いてみて、空港へ西に向かうルートを確保することが難しいと感じた。フライブルク通りは広大な中央分離帯があり、スペースについては問題なさそうだが、そこから西へ向かう新空港通りは、前に述べたように弁天山と岩子山の下を通るトンネルがある。片道2車線の道路を1車線に削って、路面電車用の軌道とすることができるものだろうか。

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伊予鉄道の路面電車は、市内主要部を結んでいる。

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フライブルク通りは中央分離帯があり、用地の確保は十分にできそう。

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「JR松山駅付近の都市計画道路図」(松山市ホームページより)。

 一方で空港通りは、そもそも片側1車線の道路だけに、さらに困難だといわざるを得ない。拡幅するのも、両側にビルやマンションが立ち並んでいるため、難しいだろう。専用軌道でない単線ならば可能ということかもしれないが、そうなれば定時性や、列車本数の確保が難しくなりそうだ。

 しかし、松山市街や道後温泉まで路面電車で一本でつながるというアクセス面の利点だけでなく、日本で唯一の路面電車による直結駅となる。ほかの地域にない魅力となるだけに、ぜひ実現させてほしいものだ。

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今回の「歩いてみた」ルート。(Googleマップを利用しています。権利関係はGoogleに帰属しています)

(文/渡瀬基樹)

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