東京オリンピック開幕まで残り650日、『点を取るのは自分だ』というプライド
リハビリ期間中、彼はインタビューの際にこんな言葉を残している。
「ストライカーとしてやれるのは自分しかいないと思っているし、そのプライドを捨ててはいけない。五輪に出る、出ないでは人生も変わる。もう一度、『点を取るのは自分だ』というところをジュビロで見せて、代表に戻りたい。」
プライドは時として新たな成長の足かせとなる。だが一方で、プライドは自分を支える原動力ともなる。
彼の心には代別のエースとして戦ってきた経験が蓄積されているはずだ。それはどんな苦境をも乗り越える薬として、いかなる時も支えになるだろう。挫折を乗り越えた人間は強い。挫折を味わった人間のみが知る己自身との向き合い方と、心の拠り所として育んできたプライドがあるからだ。
小川航基は度重なるケガを乗り越え、9月14日、J1第26節セレッソ戦に先発出場し後半24分までプレーする姿をサポーターに見せてくれた。東京オリンピック開幕まで650日を切った今、彼が東京オリンピックのエースとしてメンバー入りするかどうか現時点ではわからない。
だが彼がエースとしての覚悟とプライドを注ぎ込んだ聖火を灯し、2年後に照準を合わせて歩み続けているのは間違いない。そんな小川航基という選手を、ぜひ東京オリンピックに向けて覚えてもらいたい。