ゲームに没頭するゲーマーが必ずしも「ゲーム障害」ではない 世界保健機構(WHO)による疾病認定の是非

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Thinkstock/Photo by hobo_018

 ゲームは楽しい。空いた時間にやるのは気分転換やストレス解消にもなるし、眠気覚ましにもなる。しかし、ゲームをするために、本来やらなければならないことを後回しにし始めているようなら要注意だ。

 2018年6月に、WHO(World Health Organization、世界保健機関)は「国際疾病分類」の第11版に、「ゲーム障害(ゲーム依存症)」(Gaming disorder)を追加したことを発表した。ゲーム障害をギャンブル障害(Gambling disorder)と同類の扱いにしたのだ。

 ゲーム障害の特徴は、ゲームを他の活動より優先するがあまり、他の活動に支障を及ぼしてしまう状態にある。これがエスカレートすると、家族に暴言を吐いたり暴力を振るったりするというからかなり深刻だ。

 あるいは、精神的なことだけでなく、ゲームのしすぎで下半身がうっ血して死亡した例もあるという。しかし、WHOの決定には「時期尚早」だとの意見も出ており、今後の議論が注目される。

WHOで認定された「ゲーム障害」

 WHOがゲーム障害を追加したICD(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」と訳されている。つまり、記録や分析のために国や地域、診療機関でも統一的に使用できる病名として分類されたことになる。日本でも厚生労働省が「疾病、傷害及び死因の統計分類」で使用しており、医療機関でもカルテに使用している。このICDで分類されているゲーム障害の3つの要点を取り出すと以下のようになる。

・ゲームをしたい欲求を抑えられない(開始、頻度、熱中度、継続時間、終了、環境など)
・ゲームをすることが、他の生活上の興味や日々の活動よりも優先されてしまう
・家族関係、仕事、学習などに悪影響が生じていてもゲームをやめることができない
※WHO『ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics (2018)』の『6C51 Gaming disorder』より。

 上記の3つの特徴を見て「ドキッ」とした人は要注意だ。しかし、この状態が1カ月続くとゲーム障害と認定されるとも記されているので、自分がどのくらいの期間、上記の状態になっているかにも注目したい。逆に言えば、いくらゲーム好きでも、上記のような症状が出ていなければ、ほどほどに楽しんでいるということかもしれない。

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