「消費税10%」の罠。まるでひっかけ問題のように複雑怪奇な軽減税率の仕組み

文=地蔵重樹
【この記事のキーワード】

酒類は10%で、ノンアルコールビールは?

 ところで、今回の食料品の中からは酒類は除外されたため消費税は10%になる(予定)。ところがこれも一瞬では判断しにくい商品がある。

 たとえばノンアルコールビールや甘酒は軽減税率の対象となるので8%だ。これらは本物のお酒ではないためだ。ところが、誰がどう見てもお酒ではないにもかかわらず、みりんは酒類扱い(10%)になる。規定以上のアルコールを含んでいるからという理由だ。

 それではアルコールが入っていたらアウトか、というとそうでもない。お酒を使ったお菓子は「お酒ではない」ので8%だ。

 ここまで書いてきて、ひっかけクイズを試されている気分になってきた。

屋台やコンビニのイートインはどうなる?

 こうなると、販売する側の混乱が予想される。たとえば「おにぎりを3個買ったけど1個はイートインで食べていく」となると、2個は8%で1個は10%となる。

 それに、持ち帰りのつもりで買ったけど、「やっぱりお腹空いた!」とレジでの精算後にイートインで食べ始めたら店員が慌てて飛んできて「2%追加します!」とでも言うのだろうか?

 それに、店前の駐車場の車内で食べた場合は持ち帰りなのか? この混乱を避けるため、現在、その店舗での食料品の売り上げの一定割合を「えいやっ!」と10%にする方法や、原則イートインでの飲食を禁じるなどという案が浮上している。

 また、回転寿司で、一部のお鮨をプラスチックのパッケージに入れて持ち帰ることができるが、これも会計時には分類するのだろうか?

自動販売機はどうなる?

 少々疲れてきたが(というか呆れてきたが)、ついでに触れておくと、自動販売機で売られている飲料や食料品は軽減税率の対象であり8%だ。

――が、飲食店の施設内やガソリンスタンドの店舗内では対象外なので10%になる。ところが、たとえばガソリンスタンドの店舗内の自動販売機でジュースを買っても、車に持ち込んで(つまり店舗から持ち出して)飲む場合は8%でなければならない。いったいどうやって自動販売機が、購入者が飲む場所を事前に判断できるのだろうか?

 そこで、この場合も、自動販売機の売り上げの一定割合が持ち帰られていると仮定して、売り上げの何割を8%、残りを10%とする処理になるようだ。

まだまだ煩雑さは盛りだくさん

 さて、以上のように買う側も売る側も混乱しそうな軽減税率だが、他にも混乱の要因はある。クレジットカードやスマートフォンなどでキャッシュレス購入をした場合は2%還元される仕組みが検討されている。また、水道などの命に関わる消費が軽減税率の対象外なのにもかかわらず、新聞が対象になっているのには、新聞業界が官僚の天下り先であることや増税肯定キャンペーンへの見返りだなどといった黒い噂も絶えない。

 以上、長々と軽減税率のシミュレーションを行ってきたが、当然、企業側の財務処理やお店の経理、レジ対応など消費者以外の負担増も考えられる。いずれにせよ、軽減税率については(実は増税そのものも)まだまだ流動的なため、以上の内容はあくまで現時点での話だと注意してほしい。これを機に、今後の動向に注目してみてはいかがだろうか。

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