北川景子ドラマ『フェイクニュース』が描くネットメディアの実情。ネットニュースは「悪」なのか?

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 宇佐美編集長の出している空気感は若干フィクション用にデフォルメされている感もなくはないが、大なり小なりこれと似たような光景は多くのネットメディア編集部で日々繰り返されているだろう。

ネットニュースでありがちな「釣りタイトル」

 そして、東雲はこの後、「インスタントのうどんに青虫が入っていた」という、最近話題となったツイートを紹介する記事を担当することになるのだが、取材をした結果そのツイートの写真に不審な点があることや、インスタントうどんを製造した工場に立ち入り調査を実施した保健所が問題は見受けられないと結果を出したことなどを受けて、なかなか記事を書くことができずにいた。

 東雲は遊んでいたわけではなく、正確な記事を書くために取材をしていたのだが、そういったペースで仕事をすることはイーストポストの編集部では認められない。同僚から、編集長が<給料泥棒>と陰口を言っていたと知らされた東雲は、取り敢えず現状でわかっていることだけを報告する記事を書くことにした。

 青虫が混入されていたと怒る消費者の側にも、食品を製造したメーカーの側にも、どちらの側にも立たない記事であるため「青虫うどん事件に見る企業対応の難しさ」という玉虫色のタイトルをつけたのだが、これを見た編集長は激怒。東雲とは別の部下に指示して、タイトルを変更させた。その結果、「青虫うどんの真相! 愉快犯の仕業?」という、東雲が最も気をつけて避けていた方向性の記事になってしまう。

 これに気づいた東雲は<完全な釣りタイトルです。語尾に「?」をつけりゃ許されるものじゃありません>と編集長に抗議するが、しかし、そんな東雲も昔ながらのジャーナリズム精神を強くもち続けているわけではない。その記事が一晩で50万PVを稼いでいたことがわかると(彼女にとっては1カ月の累計の成績をその1本の記事で超えるような数字であるらしい)、それまで猛然と怒っていたのが一気にトーンダウンして黙ってしまう。東雲ほど硬派に新聞記者のスタイルを貫く人であっても、ネットメディアに足を置いているうち、だんだんとそちらの仕事に染まっていくのだということが、この一幕で示唆されていた。

『フェイクニュース』が炙り出したフェイクニュース以外の社会問題

 『フェイクニュース』のストーリーはジェットコースターのような展開で、次から次へと新事実が発覚していき、めまぐるしい。「フェイクニュース」以外にも、社会問題に関する言及がなされている。

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