サッカー選手の平均寿命は短い…ベテランJリーガーが示す本物の「サッカーインテリジェンス」とは

【この記事のキーワード】

中澤佑二が見せた、年齢とともに必要とされるサッカーに対する姿勢

 同じく40歳を迎えた元日本代表のセンターバック中澤佑二。ボンバーヘッドの愛称で親しまれている彼もまた、ワールドカップで日本をベスト16に導いた屈強なDFの一人である。現在も横浜Fマリノスの選手としてピッチに立ちづけている。

 彼の特徴は高さを生かしたヘディング、海外勢にも負けない1対1での強さ。長年にわたり活躍するには、身体能力や経験、センスといったものだけでは第一線で生き残ることは難しい。次々と出てくる若手選手に負けないため、日々のルーティンを何十年も大事にしコンディションを維持してきた。

 今シーズン就任した新監督はチームとしての団体行動を厳守。キャンプ中の食事は朝・昼・夜のすべて全員が揃って食べることが課せられた。指揮官が変わればそれに合わせ自分を順応させる。それはどの選手も同じことである。

 彼のような何十年も同じルーティンで試合に向けてコンディションを作ってきた選手にとって、変化は時にリスクともなる。

 「監督が代わってグラウンドの中と外の両方で変化がある。まずやってみるという姿勢が大切」「今までの殻を破って新しい自分を作っていきたい」
(出典元:http://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=35400

 若手選手の言葉ではない。20年以上、第一線で活躍してきた彼が変化を恐れず、新しい自分を作りたいと言う。20年以上作り上げた自分のスタイルを崩すリスクより、サッカー選手としてぶべき優先順位を間違えることはない。

カズ、51歳で言われた「何の生産性もない」という言葉の受け止め方

 サッカー界のレジェンド、横浜FC所属のカズ。51歳となった今も現役プレーヤーとして今年5月に行われた試合に途中出場。自身の持つJリーグ最年長出場記録を51歳3カ月0日に更新した。

 シーズン前の宮崎合宿では練習試合にも出場し、コンディションの良さをアピールした。だが昨シーズンから就任したブラジル人監督からは思いがけない言葉を浴びせられた。

『お前はコンディションがいい。去年、俺が来てから見ていた秋頃のコンディションと比べても今のほうが全然いい。走れる。でも、何の生産性もない』
(出典元:http://bunshun.jp/articles/-/6334?page=2

 日本サッカー界の第一線を走ってきた彼に対して、監督は選手としての評価を事実として伝えた。カズのポジションはFW。役割は得点やアシストに絡むこと。今までFWとして多くの実績を残してきた。

 「生産性がない」という言葉は、アシストやゴールに直結するFWとしての役目を果たしていないことを意味する。98年、フランスワールドカップ初出場を決める大一番のイラン戦。ゴン中山と三浦カズの両エースが同時交代することが分かったとき、「なんでおれ!?」と自分を指し不満そうな表情を見せたカズ。サッカー界の先頭を走ってきた男だからこそ、プライドは自分を支える柱となってもおかしくはない。

 「でもそうやって、はっきりと言ってくれるのはありがたいよね。この歳になると、監督からあまりそういうことを言われないので」「だから嬉しい。『もっと考えて動け』なんて言われて、若手みたいでしょ。新鮮ですよ。」
(出典元:http://bunshun.jp/articles/-/6334?page=3

 ブラジル人監督のアドバイスに彼の口から出てきた「新鮮」という言葉には、ベテランとなった現在も、過去の実績ではなく、今を受け止める心の在り方が垣間見える。

変化を恐れず時代を受け入れ、サッカーインテリジェンスを高め続けるベテラン選手

 Jリーグのクラブは54チーム。平均1チーム25名の選手登録があるとして約1350人がプロとして活躍している。その中でも40歳以上の選手は確認できたところで、わずか13名しか在籍していない。40歳を超えても現役で活躍することがいかに難しいことかわかる。

 「サッカーインテリジェンス」という言葉がある。その定義は広く、賢い選手や頭の良い選手、知性がある選手とも捉えることができる。

 知性(インテリジェンス)は、どんな仕事においても共通する普遍的な武器だ。サッカー選手はどんな状況においても、その場で問題の対策を瞬時に見つけていかなければいけない。ピッチ上において経験したこともなく、予想もできなかった事態がよく起こる。起こった問題をピッチ外の指揮官に指示を仰いでいる時間がないケースもある。

 自分たちの置かれた状況を把握し、何が正しい答えか、ピッチの中外に関係なく常に考え模索することが求められる。そんなサッカーインテリジェンスを身につけるために、“経験”は大きなアドバンテージとなる。

 第一線で活躍するベテラン選手は、その“経験”だけでなく、直面した厳しい現実を謙虚に受け入れ、実績に溺れず、常に自分を変化させていく。そんなベテラン選手は、まさに最強のサッカーインテリジェンスの体現者である。だからこそ、40歳を超えてなお、結果を残すことができるのだ。

1 2

「サッカー選手の平均寿命は短い…ベテランJリーガーが示す本物の「サッカーインテリジェンス」とは」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。