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傑作ノワール映画『犯罪都市』に見る、韓国社会のリアルな“闇”、そしてナショナリズム

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映画『犯罪都市』DVD版ジャケット(販売:Happinet)

 2017年に韓国で公開されたノワール映画『犯罪都市』は、2004年と2007年に同国で実際に起きた、朝鮮族を含む中国系マフィア、韓国系マフィア、そして韓国警察との抗争を融合・脚色し、エンタテイメント化した作品だ。

 映画の舞台となるのは、ソウル・九老区カリボン洞。中国人(朝鮮族を含む)が集団で暮らすチャイナタウンである同区域では、「チュンシニ派」「イス派」「毒蛇派」など、中国系&韓国系マフィアが互いに勢力的均衡を保ちつつも、水面下で縄張り争いを繰り広げていた。

 ある日、その混沌とした街に、中国・ハルピンの巨大マフィア組織「黒龍派」の幹部チャン・チェン(俳優ユン・ゲサン)が、2人の部下を連れてやってくる。チャンは圧倒的な暴力で「毒蛇派」を制圧。リーダーの身体をバラバラに解体しばら撒き、他の組織も脅し、吸収しながら恐怖で街を支配していく。地元の刑事マ・ソクトらは、街が暴力の連鎖に巻き込まれていく危機感にさいなまれるが、同僚の刑事やチャイナタウンの住人、そして時に古くから付き合いのあるマフィアと協力しながら、チャンら黒龍派と対決していく。

 そんな、中国人&朝鮮族・韓国マフィア・警察の抗争を描写した犯罪都市は、韓国で異例の大ヒットとなった。15歳未満観覧不可にもかかわらず、上映開始から6日後には上映館数が2倍近くも増加。動員観客数は600万人を超えた(日本でも先月からレンタル開始している)。

 実際、その暴力描写は韓国映画の真骨頂とでもいうべきもので、映画全編を通じてスリリングかつエキサイティングなシーンが“止まらない”。

 主人公のマはとにかくタフである。ナイフを出されてもいちいち驚かない。携帯片手に、張り手でチンピラたちを失神させていく。その演技には、ハリウッドモノの刑事やヒーローとは一線を画す妙な“リアルさ”がある。「本当に強い刑事ってこんな感じなんだろうな」と、思わず見入ってしまうのである。

 対する悪役たちの演技もあっぱれだ。おもな凶器は、銃では“ない”。斧、ナイフ、ナタ、そして素手と、これまたリアルである。特にチャンは、「鎖のない狂犬」という表現がぴったりとくるような“いかれっぷり”だ。とにかく凶暴の一言に尽きる。あの『アウトレイジ』の悪人たちも、チャンと対峙したら真っ青になるはずである。なぜ韓国国内で絶大な人気を博したのか、との疑問も、ノワール映画好きなら一度観れば納得の完成度である。

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ロボティア編集部

人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT、ブロックチェーンなど、テクノロジー関連のニュースを配信する専門メディアを運営。国内外の最新技術動向やビジネス情報、カルチャー・生活情報なども各メディアに寄稿中。

サイト:ROBOTEER

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