パワハラ訴訟の「ビ・ハイア」 原告と被告のあまりに食い違う主張 客観的視点で見て業務は正常だったか

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「ビ・ハイア」は客観的に見れば「パワハラ」で「ブラック企業」だろう

 では客観的に見てどうか。同社のブログでは、亡くなった大山さんを含む社員が日々の仕事内容を綴っているが、そこに記された同社の業態は、やはり正常とは到底考えられない。

 たとえば、亡くなった大山さんが書いた記事(2015年12月23日「新卒募集 清水有高社長について行けない!辞めよう!と思った瞬間は?女性執行役員大山が語るそれでも続けているのは?なんで?」)では、タイトル通りの異常なパワハラ体質が確認できる。

 大山さんは大学在学中から同社のインターンとして働いていたが、大学卒業を記念して友人と約束していたディズニーランド旅行の当日、清水社長からブログの文章修正を命じられた。

 <「一生に一度の卒業旅行で、今からキャンセルもできません。戻ったら終わらせますので…」と社長に交渉してみるも答えは「NO。甘えるな。」>(ブログより抜粋、以下同)。

 大山さんは旅行を諦め、泣きながら徹夜で仕事をしたが、結局OKは出なかったという。さらに、入社後も<こんなに仕事をしてもそれが売上に必ずしもつながる訳ではなかったので資金繰りはカツカツ>と言い、100円のパンで1日をしのいだというエピソードも語られている。いったい当時、どんな状況だったのか……しかしそれを証言する本人は、もうこの世にいない。

 <この会社に居る限りは仕事最優先で、友達がどんどんいなくなり、孤独死するのかもしれない>
 <こんな生活になっているのも全ては自分に売上を上げる能力が無くみんなに迷惑をかけているからだと自分を責めまくって自信をなくし、更に売上が上がらないバッドスパイラルに陥った>

 このような心境を吐露していながらも、しかしこのブログが奇妙なのは、大山さんがすべてを受け入れ肯定しているように綴っていることだ。

 この長いブログ記事は、<いつでもギリギリの瀕死状態まで自分を追い込んでいく先に進化があると知ってしまったから、追い込んで次の自分になれるということを楽しんでしまうドMになったのかもしれませんが、今はこのヒリヒリ成長していく感じがたまらなく楽しいです。>と締めくくられている。第三者からは、洗脳状態にすら見える。

 当時のほかの社員のブログ記事を読んでも、ほぼ同じ調子で、「毎日辛いけれど、この会社で成長できて良かった!」という主張が繰り返されているのだ。

 インターネット上では、こうした同社のブログを異様に感じるという声も多い。けれども、これは同社の公式ブログとして公開されているものだ。清水社長は、こうした文章を広く公開しても問題はないと捉えており、なんらパワハラではないと考えているのだろう。

 今後は法廷へと持ち越される。「ビ・ハイア」で、大山さんをはじめ原告らの身に一体なにが起きていたのか。そこで行われていたことは、法的に「問題がある」のか、それとも「問題はない」とされてしまうのか。

(今いくわ)

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