株式会社ハルメクは10月18日、55~84歳の孫のいる女性195人を対象に実施した「祖母と孫の関係に関する調査結果」を発表した。まず、「孫との関係の満足度」を聞くと、「とても満足している」(51.8%)、「やや満足している」(40.0%)と9割近くが満足していると回答。ただ、「孫とのコミュニケーション頻度」については、「どちらでもない」(67.7%)が最多で、「増やしたい」(31.3%)の倍以上の結果となった。「どちらでもない」と回答した人の具体的な意見が紹介されている。
「気が向いた時に、遊びに来ればいい」(茨城県、72歳)
「今の状態が続いていけばいい。つかず離れずの関わり方がちょうどいい」(東京都、74歳)
「勉強、クラブ、お稽古など忙しいので無理して会わなくても良い」(大阪府、68歳)
孫との関わりを今より増やしたいと考えている人より、「現状維持」「増やしたくない」と考えている人が多いのは意外である。
孫休暇を導入する企業もあるが…
そんな祖母の思いとは裏腹に、親の育児サポートを受けたいと考えている家庭は多い。博報堂生活総合研究所の調査によると、親と別居して生活するが近くに住みたいと考える家庭は年々増加している。
また、最近では祖父母の育児参加を後押しする企業も増えている。株式会社ハッピースマイルでは、孫が高校を卒業するまで1日1時間の育児時間を取得できる「育孫休暇制度」を導入した。第一生命保険株式会社では、孫が誕生した場合、最長9日間の休暇を取れる「孫誕生休暇」を実施している。
しかし、孫の誕生が近付くにつれ、孫の世話を憂鬱に感じてしまう“孫ブルー”という言葉もあり、株式会社ゆこゆこの調査によれば、孫の面倒を見ることがある祖父母の83.9%が「孫は来てうれしい、帰ってうれしい」と感じているようだ。安易に「祖父母の孫育て」を肯定的に捉えすぎすことは危険ではないだろうか。
厚生労働省は今年、待機児童数が4年ぶりに減少したと発表したが、保育園に子供を預けらず、近所に住む祖父母が保育園代わりを引き受けているケースも少なくない。祖父母の心境を察するに、「保育園に子供を預けたい」と願うのは両親だけではない可能性は高く、政府は「子供を預けたい」というニーズを着々と満たしているとは言い難い。まずは子供が預けられる環境を整備したうえで、祖父母が育児に参加できるようにすべきだろう。現状の待機児童対策は、祖父母の育児参加が前提となっていないか気がかりである。