「人が変わってしまった妻、元に戻ってほしい」夫が取った行動は

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更年期のうつ症状とうつの違い

――更年期のうつ症状と、うつ病は違いますから……。更年期のうつ症状の場合は、ホルモンを補充することで改善される場合が多いですが、うつ病の場合はたとえホルモン補充をしたところで症状は改善されません。

「主治医の先生もそのお話をしてくださいました。ホルモンを補充するためのパッチを見せて『大丈夫、きっとこれで変わるから』と力強くおっしゃった。こちらもとても心強かったですね」

――2002年にホルモン補充=乳がんと思わせる大々的な新聞報道がありました。そのせいか、ホルモン補充にネガティブなイメージを抱く方も多いですが、潤一さんはそれはなかったですか?

「幸い、僕はかつてそういう新聞報道があったことを知らなったので。あまり変な先入観もなく、HRTを受け入れることができたんだと思います。先生は『これを貼って試してみてなんの改善もされないようなら、それは更年期うつではなかったということになる。その場合は心療内科に行くことも考えよう』とそう説明もされました」

――納得されたんですね、先生のお話に。

「すごくわかりやすく、おっしゃる通りだと思えたんです。納得いくまで僕もいろんな質問をしたし、30分ぐらいは先生とお話ししたのかな」

――女性ホルモンの量は血液検査で測定できます。ホルモンを補充すると、その成果を数字で見て確認することができるのでわかりやすいかと。

「そうなんです。『ホルモンを補充することで、女性ホルモンの数値が段々と改善されていきます』との説明を聞いて『やる価値はある』と思えました。抗うつ剤は先が見えない。いつこの治療は終わるんだろうと思ってたし、どんどん薬がきつくなるんじゃないかとそれが怖かった。でもHRTだと数字で結果がわかるし、先が見える感じが安心できたんです。これまでとは違って光明が見えてきた気がしました」

――更年期にうつ症状を発症される女性は多いです。ただ、その事実を知らないお医者さまも残念ながらいらっしゃるんですね、たとえ婦人科であっても。

「ええ。奥さんがいまの病院の前に行った2軒の婦人科では、更年期のせいじゃないかとのアドバイスはありませんでした。婦人科という看板があるからって、どこでもいいってわけじゃないんだなと今回の件で実感しましたね」

妻の体調に劇的な変化を感じた

――更年期専門のクリニックに行き、すぐにHRTをスタートされた?

「はい。うちの奥さんの場合は、目に見えてよくなりました。始めてしばらくすると外出を億劫がらなくなりましたし、人に会うことを嫌がることもなくなった。なにより笑顔が増えました。いまはもうほとんど昔の彼女を取り戻しています」

――HRTの効果が表れるのも個人差があるようです。奥様の場合は効果が早く表れて本当に良かったですね。世の中には、更年期で体調が悪くなっている妻に対して「もう女じゃなくなったんだな」などの無神経な言葉を投げつける男性もいると聞きますが、潤一さんの対応はホントに色々と素晴らしいです!

「僕は更年期に対して、そんなネガティブなイメージはなかったな……。ひょっとすると、PMSという女性特有の病気があると先に知っていたから、更年期というのも自然に受け入れられたのかもしれませんね。出産や生理前など、人によってホルモンの乱れの影響を受けやすいということを知って、女性って大変なんだなぁと思っていましたから」

――だから、すぐに病院を探して奥様に勧めるという行動に出られたんでしょうね。

「そうかもしれません。病院に行って、更年期じゃないと言われたならまた次の手を探し出せばいい。なにもしないより、なんでもいいから一歩踏み出そう。そうすれば病状が改善できるなにかが見つかるはずだと信じてました」

――あずささんはインタビューの中で「病状がよくなってから、夫に、『よくあの頃の私を我慢してくれてたね』と話したことがある」とおっしゃっていました。

「あぁ、そんなこと言ってましたか(笑)。そうですね、思い返せば大変なこともありましたけど。でも、あの辛い時期の彼女は本来の彼女ではないとわかっていましたから。本来の彼女の姿を、一番よく知っているのは僕だと思っていましたし」

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