「人が変わってしまった妻、元に戻ってほしい」夫が取った行動は

連載 2018.11.05 06:15

必ず元に戻る、戻してあげないといけない――その思いが強かった

――奥様が変わってしまって、これからずっとこのままの状態だ、とは考えなかったんですね。

「必ず元に戻ると信じていましたね。いまは一時的なもので、本来の彼女にきっと戻れるはずだし、戻してあげないといけないと」

――世の中には、妻の不調を「なぜ様子がおかしいのか?」と冷静に考えずに、「女の人はすぐイライラする。ヒステリックだ」で片付けてしまう人も多いと思うんです。

「わかります。僕だって、事前にPMSのことなどを知っていたからそうはならなかっただけで。世の男性、いや、ひょっとすると女性でさえも、40代前半での不調を更年期と結びつけられる人は多くないんじゃないかな。でも少し知識があれば、そんな場合でも対応できるのにとは思います」

――そうですね。更年期の不調には治療法があるんですものね。HRTだけでなく、漢方やサプリメントなども。

「骨折など怪我をしたら病院に行き治療するように、更年期の症状にも治療法がある。それなのに、更年期はひたすら耐えてやり過ごすことが当たりまえとなっているような今の風潮はもったいないなぁと思うんです。もちろん人にもよるかと思いますが、うちの奥さんのように、治療して劇的に更年期の症状が楽になることがあるんですから」

奥さんが楽しく元気で過ごしていてくれれば家族関係も夫婦関係も変わる

――適切な治療を受けることで本人のQOL(生活の質)が上がる。それはご家族のためにもなりますよね。

「その通りです。家で奥さんがずっと辛そうだったりしんどそうな状態だと、家族にいい影響があるわけはない。奥さんが楽しく元気で過ごしていてくれれば、家族関係も夫婦関係も改善されるんじゃないでしょうか。人生の中で家族と一緒にいる時間ってとても大切なものですから」

――更年期に辛い症状が出る人もいる、ということを男性にも理解してほしいと考え、こうやって発信しているのですが……。男性の場合、「自分の母親も更年期を通過したはずだけど、とくに大ごとになってなかったよ。君だって大丈夫でしょ?」みたいな思い込みもあったりするのかなと。

「そうですね。『出産だって大変なもんだって言われてるけど、ちゃんと乗り越えたじゃない? 更年期だって乗り越えられるでしょ?』『隣の奥さんも同世代だけど、元気で頑張ってるんだから、おまえも頑張れるだろ』って、そんな風に考える男性が大半かもしれない」

――今回の奥様の体調不良について、たとえば会社の同僚やお友達など周囲の男性にお話しされたことはありますか?

「同世代の男同士であんまり奥さんの病気の話はしないので……でももし誰かから、『うちの奥さん最近調子悪くって』みたいな相談があれば、自分の体験を話してアドバイスはしたいと考えてます。更年期について知識があるのと、ないのとでは大違いですから」

――では最後に。将来の話になりますが、子育てが終わったらなにかご夫婦でやってみたいことなどありますか?

「ふたりっきりで外出したり、旅行したり、静かなレストランで食事をしたり……かな。いまは子どもが喜ぶことや場所が最優先で、なかなかそういう時間は取れないので。子育てが終わったら、またそういう時間を楽しみたいなと思っています。彼女がどう思っているかはわかりませんけどね(笑)」

――おふたりはきっと、十年先でもきちんとコミュニケーションを取っているご夫婦であるような気がします。

「そうでありたいですね。妻が何考えているかわからない、という夫ではいたくないと思っています。これまでいかに彼女が夫婦間のコミュニケーションを取るように努力していてくれていたのか……今回のことでそれが身に染みてわかったんですよ。ですから、今後はもっと僕からも積極的にコミュニケーションを取っていきたいと思うようになりました」

――あずささんの急な体調の変化は大変だったと思いますが、ご夫婦の在り方を考えるきかっけにもなったんでしょうか?

「それはあります。大変だったけど、学んだこともたくさんあったように思えますね」

――これからもおふたりで仲良く過ごされてくださいね。今日はどうもありがとうございました。

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日々晴雨

2018.11.5 06:15

都内在住のフリーライター、更年期ジャーナリスト。いくつかのペンネームを使い分けながら、コラム、シナリオ、短編小説などを執筆。コピーライターとして企業のカタログやHPなどのライティングに携わることも。2017年にメノポーズカウンセラーの資格を取得。

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