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チャーミングなカラスに会いにいくなら、東京・上野公園へ

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【日本カラス紀行 第1回】
チャーミングなカラスに会いにいくなら、東京・上野公園へ

 カラスほど、日本人から嫌われている鳥はいないだろう。ごみ集積所や畑を荒らし、人間を襲うとして、東京都は10年以上前から捕獲トラップを街中に設置している。そのせいもあって、2001(平成13)年には約3万6400羽いたとされるカラスが、2017(平成29)年にはおよそ4分の1にあたる約8600羽まで減ったとされる。地方でもカラスを退治すると奨励金がもらえる自治体もある。たとえば高知県のある町では、有害鳥獣捕獲の「報償金」として1羽につき2000円が受け取れる仕組みだ。

 もうここまで来ると指名手配の凶悪犯、はたまた仮面ライダーに問答無用で倒されてしまうショッカー軍団のような扱いなのである。

 しかし、人間vs動物の利害関係はいったん抜きにして、カラスを近くでよーく見てほしい。カラスって実はとってもかわいい。魅力いっぱいの生き物なのですよ。

 第1のチャームポイントは、つぶらな瞳。冒頭の写真をご覧いただきたい。まるでテディベアのように、真ん丸で真っ黒、うるうるな瞳の愛らしさは、鳥業界でもトップレベルだ(平和の象徴とされるドバトなどは、意外と目つきは鋭かったりする)。

 第2のチャームポイントは、行動の面白さ。見れば見るほど人間に似ている。図太いとか怖いとか何かと眉をひそめられるカラスだけど、メスの一声で慌てて巣に帰るような「嫁の尻に敷かれる」オスもいれば、まるで「一人カラオケ」のように物陰でこっそり犬の鳴きマネをしているカラスもいる。ツッコミどころ満載、見ていて飽きない。

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花のモチーフが付いたヘアピンを大事そうに持ち歩く、女子力の高いカラス。

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エサをくわえてテンションが上がったのか、筆者のほうにまるで「欽ちゃん走り」のようにひょこひょこと走ってきた。角度によって笑っているように見える。

 そして、第3のチャームポイントは、歴史との深いつながり。今でこそ「不吉」の代名詞ともされてしまっているが、日本神話の時代から、カラスは神武天皇を勝利に導いた「神の使い」として信仰の対象でもあった。サッカー日本代表のエンブレムとしても知られる3本足のカラス=八咫烏(やたがらす)のことである。彼らが登場する神事や民話もたくさんあって、カラスというフィルターを通すことで一味違った日本の文化が見えてくるのだ。

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 カラスは、日本中のどこででも見られる「無料のエンタテインメント」である。この面白さを知らずに一生を終えるなんて、もったいない。普段何気なく目にしている街の風景も、野山も、神社も、映画やアートも、「カラス的視点」が加わるだけで、まったく違った楽しみ方ができるのだ。ええ、本当ですとも。

 8年ほど前、そんなカラスに恋をした私。現在は「カラス友の会」という愛好家の組織をつくり全国で140人ほどの会員がいる。日本初といわれているカラスのミニコミ誌「CROW’S」の発行も続けている。

 この連載では、「カラス愛好家から見た日本の名所」や「カラス界のキーパーソン」など、カラスを楽しむ活動=「カラ活」に欠かせない人やモノを紹介していきたい。さぁ、カラスの大きな翼に乗って、今日はどこに飛んで行こう?

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