チャーミングなカラスに会いにいくなら、東京・上野公園へ

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カラスが都市部で見放題なのは、世界的にも東京だけ

 さて、前置きがずいぶん長くなったが、この公園の住人である天真爛漫なカラスたちを見ていただこう。

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 9月初旬、カジノキ(梶の木)の実をうれしそうに頬張っていたハシブトガラス。

 

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 うーん食べようかな、どうしようかな。散々迷った後で、樹の洞やビルの屋上などに隠してキープしたりもする。これは「貯食」と呼ばれる行為で、隠し場所を数十カ所も持つ個体もいるそうだ。

 どなただったか失念したが、以前カラスの研究者さんに見せていただいた映像では、ハシボソガラスが隠したエサの上に、くちばしで落ち葉をつまんで乗せ、他のカラスに見つからないようにカモフラージュをしていた。ハシボソは丁寧な「職人肌」なのだ。ハシブトガラスはそこまでやらない。小細工はせず、大事なものは腕力で守る「武闘派」なのである。

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 ハシブトが落としていったカジノキの実。クワ科の植物で人間でも食べられるそうだ。いつかカラスたちと一緒に、おやつタイムを過ごしてみたい。

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 あまりにしつこく追いかけていると、「何か用?」といった感じで後ろを振り返ってくる。

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 それでも筆者が付いていったので、葉の裏に隠れたつもりで、こちらの出方をうかがっていた。どうもカラスって「自分から相手が見えなければ、ちゃんと隠れられている」と思っている節がある。無防備だ、かわいすぎる。

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 こちらはセミをゲットして上機嫌。さて、どこか落ち着ける場所で食べようかなーっと。

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 人が見ていると居心地が悪いのか、なかなか食べようとせず物陰を探している。カラスは人間の視線に敏感だ。筆者が大きな一眼レフを向けているのでなおさらだろう。

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 樹の陰に隠れても、まだ迷っている。ごみ捨て場では、あんなに騒々しくご飯を食べるのにねぇ。こんな自然派で奥ゆかしい一面は表に出さないなんて、アイドルとしては完全に売り方を間違ってしまった。でもいいの、私は知っているからね。

 私だけは――、そう思っていたが実はそうでもないらしい。

 数年前、人気のない遊歩道で30代ぐらいに見える白人の外国人男性が、枝に留まったカラスに近寄って夢中でシャッターを切っていた。後ろではレンズとリュックを持たされた弟子のような人が、手持無沙汰な感じでその様子を眺めている。

 タイミングを見計らい、片言の英語で話しかけてみた。
「カラス、好きなんですか?」
「うん、二ホンのカラスはクールだからね」
「あなたの国のカラスとは違うんですか?」
「ぼくはアメリカ出身だけど、あっちのカラスはここまで大きくないよ」

 アメリカやカナダにも「アメリカガラス」というカラスが生息しているが、日本のハシブトほど大きくはないらしい。さらに、イギリスに駐在員の妻として住んでいた知人も、「ロンドンでも“野生の”カラスを見ることはあまりなかった」と言う(あそこには飼育された有名なカラスはいるのだが……、その話はいつかまたどこかで)。

 さまざまな話を総合するに、「ハシブトガラスほどの大きなカラスが都市部で見放題」なのは、世界的にも東京しかないようなのだ。海外からも熱視線ということで、これはもう「世界カラス遺産」決定でしょう。そんなものがあるか知らないけど。

 2年後のオリンピックに、「トーキョー・クロウ・ツーリズム」とかやったら人気出ませんかね? 成田空港から直通で来れますし、上野公園。

(文・写真/吉野かぁこ)

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